獣医学科の受験生は、英語より理科の話をしたがります。実際どの大学でも理科の配点は重い。ところが東京農工大学の共同獣医学科は事情が違います。前期の英語は60分で大問3題、総語数はおよそ1900語。1分あたり30語を超えて処理し続けないと、最後の英語記述にたどり着けません。しかも後期日程は英語1科目のみ、400点。数学も理科も課されず、共通テストと英語だけで合否が決まります。募集人員は6名です。難しい単語で落とす試験ではなく、速度で落とす試験。ここを読み違えたまま理科に時間を注ぐと、当日60分で足が止まります。本記事は、配点から必要得点を逆算し、60分の使い方まで具体化します。
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東京農工大 共同獣医学科の基本データ【2026年版】

まず数字で全体像を押さえます。
| 項目 | 前期日程 | 後期日程 |
|---|---|---|
| 募集人員 | 25名 | 6名 |
| 共通テスト | 950点 | 950点 |
| 個別学力検査 | 1000点(数学300・理科400・英語300) | 400点(英語のみ) |
| 合計 | 1950点 | 1350点 |
| 英語の試験時間 | 60分 | 100分 |
| 共通テスト得点率の目安 | 約80% | 約85% |
| 偏差値の目安 | 62.5前後 | 70.0前後 |
| 実質倍率 | 2.8倍〜5.8倍(年度により変動) | 7.9倍〜15倍(年度により変動) |
| 過去5年の合格最低点 | 1133〜1247/1600(70.8%〜77.9%) | 1003〜1071/1350(74.3%〜79.3%) |
共通テストの内訳は、国語200点、数学200点、理科200点(物理・化学・生物から2科目、基礎科目は不可)、外国語200点(リスニング70点を含む)、地歴公民100点、情報Ⅰ50点とされています。
ここで注意が必要なのは配点の改定です。過去5年の合格最低点は前期1600点満点、後期1350点満点として公表されてきました。一方で2026年度は共通テストに情報Ⅰが加わり、個別学力検査の配点も改定される予定とされています。満点が変われば、過去の合格最低点をそのまま目標点にはできません。
Gou赤本の合格最低点をそのまま暗記している受験生が毎年います。満点が違えば意味のない数字です。点数ではなく率で見てください。前期なら7割台前半、後期なら7割台後半。これが実感に近い目標です。
配点、募集人員、試験時間、共通テストの科目指定は改定されます。出願前に東京農工大学の公式募集要項で必ず確認してください。
前期の英語は「60分・3題・約1900語」
大問構成を語数で見る
農工大の英語は大問3題で構成されるとされています。内訳は次の通りです。
| 大問 | 内容 | 語数の目安 | 設問数 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 長文読解(論説文) | 約600語 | 5問 |
| 第2問 | 長文読解(論説文) | 約750語 | 5問 |
| 第3問 | 会話文 | 約550語 | 4問 |
合計しておよそ1900語を60分で処理します。単純計算で1分あたり32語弱。しかもこれは読むだけの速度ではなく、設問処理を含めた速度です。
出題形式は、内容一致、正誤判定、日本語での要約、空所補充、文章の順序把握、そして英語50語から60語の自由記述とされています。和訳や内容説明といった記述もあり、選択肢を塗るだけでは終わりません。
語彙のレベルは標準的です。専門用語には注釈が付き、難単語で受験生をふるいにかける設計ではないとされています。だからこそ差がつくのは速度と処理の正確さです。
テーマは農学に限らない
過去に扱われたテーマとして、嘘を見抜く方法のような日常的な内容、サル社会の序列のような農学部を意識した内容、世界における日本語のような言語学的な内容が挙げられています。
つまり「獣医学科だから動物と医療の英文だけ読んでおけばよい」という準備は通用しません。論説文であれば分野を問わず読める状態にしておく必要があります。
対策として素材を偏らせないでください。週3本読むなら、1本は農学・生物系、1本は言語や社会系、1本は会話文。この配分が実際の出題に近い形です。
60分の時間配分
推奨する配分は次の通りです。
- 0分から2分 全体をめくり、大問ごとの設問数と英語記述の有無を確認する
- 2分から21分 第1問(約600語・5問)
- 21分から43分 第2問(約750語・5問)
- 43分から57分 第3問(約550語・4問。英語50語から60語の記述を含む)
- 57分から60分 記述の語数確認とスペル・三単現の点検
第2問に最も長い22分を割り当てるのは語数が最多だからです。そして第3問の14分は決して余裕のある時間ではありません。英語で50語から60語を書く設問が含まれるためです。
守るべきルールは1つ。第1問に21分を超えて留まらないこと。ここで押した分が、そのまま最後の英語記述の白紙につながります。設問1つで4分を超えたら印を付けて次へ進んでください。
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後期は英語だけで400点。この日程の正体
数学も理科も課されない
東京農工大学の共同獣医学科は、後期日程の個別学力検査が英語1科目400点だとされています。試験時間は100分。数学も理科も課されません。
これは獣医学科としてかなり珍しい設計です。理科で勝負してきた受験生にとっては、後期で突然、英語1科目に全体重が乗ることになります。
募集人員は6名。実質倍率は年度によって振れが大きく、7.9倍から15倍程度で推移しているとされています。偏差値の目安は70.0前後、共通テストのボーダーは約85%。後期を実施する獣医系のなかでは最も高い水準とされています。
英語で満点は要らない。必要なのは66%
ここで多くの受験生が誤解します。英語1科目の試験だから英語で高得点が要る、と考えてしまう。実際に計算すると違う絵が見えます。
後期の総合は1350点満点として公表されてきました。内訳は共通テスト950点と英語400点。共通テストが総合の約70%を占めます。
過去5年の合格最低点は1003点から1071点。最も厳しい1071点を基準に逆算します。
共通テストで85%(950点満点で807.5点)を確保できた場合、英語で必要なのは1071から807.5を引いて263.5点。400点満点に対して約66%です。
一方、共通テストが80%(760点)に落ちると、英語で必要なのは311点、約78%になります。
共通テストの5ポイントが、英語の12ポイントに化ける計算です。後期を本気で狙うなら、英語の演習量を増やす前に共通テストを固めるほうが効率的だという結論になります。
後期を「保険」にしてはいけない
倍率が示す通り、後期は前期より明確に厳しい日程です。前期の実質倍率が2.8倍から5.8倍で推移するのに対し、後期は7.9倍から15倍。募集6名という規模がそのまま反映されています。
そのうえで英語1科目。つまり当日の英語1回の出来が、他科目でならされることなく直接反映されます。前期のように「数学で失敗しても理科で取り返す」という構造がありません。
後期を出願先に入れるなら、英語100分の演習を前期対策と並行して積んでおく必要があります。前期の60分と後期の100分では、求められる持久力も配分もまったく違うからです。


AIを使った東京農工大 英語ロードマップ


農工大の英語で伸ばすべきは知識量ではなく処理速度と、書く手の速さです。この2つはAIとの相性が非常に良い領域です。
ステップ1(6ヶ月前まで): 速度を数字で管理する
まず現在地を測ってください。英文を1本読み、語数と所要時間から1分あたりの語数を出します。600語を25分で読んだなら24語毎分です。
AIに測定を任せられます。
「以下の英文を読むのに私は何分かかりました。この英文の語数を数え、私の読解速度を1分あたりの語数で計算してください。そのうえで、1分あたり32語という目標と比較して、どれくらい足りないかを教えてください」
速度を上げる手順は3つです。1回目は返り読みを禁止し、分からない語には印だけ付けて最後まで進む。段落ごとに1行のメモを日本語で書く。読み終わってから印を付けた語を回収する。読んでいる最中に辞書を引くのが、速度を潰す最大の原因です。
記録するのは正答率ではなく速度です。24語毎分が28語、30語と上がる過程を数字で追ってください。


ステップ2(3ヶ月前まで): 演習素材をAIに量産させる
農工大は過去問の蓄積が医学部ほど多くありません。しかも同じ形式の問題集は市販されていません。ここでAIが効きます。
「農学、生物学、言語学、社会科学のいずれかをテーマに、大学入試レベルの英語論説文を600語程度で作ってください。専門用語には注釈を付けてください。そのあとに、内容一致問題2問、下線部の日本語説明1問、空所補充1問、段落の要旨を選ぶ問題1問を付けてください。解答と解説は最後にまとめてください」
会話文と英語記述はセットで作らせます。
「日常的な場面設定の英語会話文を550語程度で作ってください。登場人物は2名です。そのあとに、空所補充2問、文脈に合う応答を選ぶ問題1問、そして会話のテーマについて自分の意見を英語50〜60語で述べる問題1問を付けてください」
第3問と同じ形式を無限に再現できます。20セット回せば会話文の型が体に入ります。
ステップ3(直前期): 60分の通し演習と語数の管理
英語50語から60語の記述は、4文構成で書くと安定します。1文目で立場、2文目で理由、3文目で具体例か補足、4文目で結論。各文12語から15語で50語台に着地します。
本番で1語ずつ数えるのは時間の無駄です。普段の練習で「自分の1行が何語か」を把握しておいてください。1行がおよそ10語なら、5行から6行で50語から60語に収まります。
添削もAIに任せられます。
「以下は英語50〜60語の自由記述の設問と、それに対する私の答案です。次の点だけを指摘してください。文法上の誤り、三単現と時制の不統一、可算と不可算の誤り、語数の過不足、同じ語の繰り返し。内容の良し悪しは評価しなくて結構です。褒める必要はありません」
「褒める必要はありません」を必ず入れてください。指定しないとAIは励ましから入り、肝心の減点箇所が埋もれます。
通し演習で記録するのは得点ではなく、次の3つです。
- 英語記述を書き切れたか
- 第1問に21分を超えて留まらなかったか
- 語数の不足がなかったか(目標0件)
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農工大は前期でも共通テスト950点が総合の約49%、後期に至っては約70%を占めます。共通テストを固めるほうが英語の演習を増やすより効きます。
私立獣医との併願で気をつけること
農工大を志望する受験生の多くは、麻布大学、日本獣医生命科学大学、北里大学、日本大学あたりを併願します。ところが英語の設計は大学ごとにかなり違います。
農工大は60分で約1900語、英語50語から60語の自由記述あり。速度と記述力の両方を要求されます。私立獣医はマーク式中心の大学が多く、記述の分量はずっと少ないのが一般的です。
この差が意味するのは、私立の演習だけを積んでいると農工大の記述設問に手が動かない、ということです。逆に農工大の記述対策だけをしていると、私立のマーク式で求められる処理スピードの型に慣れません。
併願を組むなら、週の演習に「記述の日」と「マークの日」を分けて入れてください。同じ英語でも要求される筋肉が違います。








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まとめ
東京農工大学 共同獣医学科の英語は、難単語で落とす試験ではなく、速度で落とす試験です。
押さえるべきことは4つです。
第一に、前期の英語は60分で大問3題、総語数はおよそ1900語だということ。第1問が論説文約600語で5問、第2問が論説文約750語で5問、第3問が会話文約550語で4問という構成とされています。設問処理まで含めて1分あたり32語弱。専門用語には注釈が付き語彙は標準的なので、差がつくのは処理速度です。
第二に、第3問に英語50語から60語の自由記述が含まれること。第1問に21分を超えて留まると、ここが白紙になります。4文構成(立場、理由、具体例、結論)で各12語から15語。自分の1行が何語かを普段から把握しておけば、本番で数え直す時間が要りません。
第三に、後期日程が英語1科目400点だということ。数学も理科も課されず、試験時間は100分、募集人員は6名。実質倍率は7.9倍から15倍で推移し、共通テストのボーダーは約85%とされています。
第四に、その後期でも英語の満点は要らないこと。総合1350点のうち共通テストが950点、つまり約70%を占めます。共通テストで85%を作れば、合格最低点1071点に対して英語は約66%で届く計算です。共通テストが80%まで落ちると英語は約78%必要になります。共通テストの5ポイントが英語の12ポイントに化ける構造なので、後期狙いこそ共通テストを固めてください。
数字も正しく持ってください。前期は共通テスト950点と個別1000点(数学300・理科400・英語300)で合計1950点、募集25名。後期は共通テスト950点と英語400点で合計1350点、募集6名。共通テストの内訳は国語200、数学200、理科200、外国語200(リスニング70)、地歴公民100、情報Ⅰ50とされています。過去5年の合格最低点は前期が1133から1247(1600点満点)、後期が1003から1071(1350点満点)です。
ただし2026年度は共通テストに情報Ⅰが加わり配点が改定される予定とされています。満点が変われば過去の合格最低点は目標点として使えません。点数ではなく率で見てください。前期なら7割台前半、後期なら7割台後半です。出願前に必ず公式募集要項で確認してください。
今日から測ってください。読むのに何分かかったか、1分あたり何語だったか。農工大の英語で動かすべきはこの数字です。


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