「英語の配点が高い医学部」を調べると、たいてい二次試験の中での英語の割合が出てきます。ところが受験生が本当に知りたいのは、合計点のうち英語が何%を占めるかのはずです。この2つは一致しません。当ブログで個別に調べた大学から総合英語比率を計算すると、徳島大学が30.8%、群馬大学が10.8%。同じ「医学部英語」でも約3倍の開きがありました。さらに厄介なのは、二次比率と英語比率が連動しないことです。群馬は二次比率約49%の二次重視型ですが英語は10.8%。徳島は共通テスト900点対二次400点の共テ重視型なのに、英語比率は最高でした。本記事は、総合英語比率の計算方法と、その正しい使い方を整理します。
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総合英語比率の計算式と、実際の数字

使う式は1つだけです。
総合英語比率 =(共通テスト英語の配点 + 二次英語の配点)÷ 総合満点
必要な数字は3つ。募集要項の配点表があれば5分で計算できます。
実際に計算した5校
当ブログで個別に調べた大学から計算した結果です。
| 大学 | 共テ英語 | 二次英語 | 総合満点 | 総合英語比率 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島大学 | 200点 | 200点 | 1300点 | 30.8% |
| 和歌山県立医科大学 | 150点 | 200点 | 1300点 | 26.9% |
| 横浜市立大学 | 300点 | 300点 | 2400点 | 25.0% |
| 島根大学 | 100点 | 300点 | 1650点 | 24.2% |
| 群馬大学 | 100点 | なし | 925点 | 10.8% |
最高の徳島と最低の群馬で約3倍の開きです。同じ勉強量を英語に投じても、志望校によって総合点への効き方がこれだけ違います。
計算するときの注意点2つ
1つめは、共通テストが圧縮または傾斜されることです。共通テスト本体は英語200点(リーディング100点+リスニング100点)ですが、大学が使うときに100点へ圧縮したり、リーディング重視に傾斜したりします。
たとえば横浜市立大学は共通テストでも英語300点で、リーディング240点への傾斜配点とされています。和歌山県立医科大学は共通テスト素点1000点が600点に圧縮され、英語はリーディングとリスニングが3対1に換算されるとされています。
使うべきは「大学が採用する配点」であって、共通テスト本体の点数ではありません。
2つめは、総合満点が改定されることです。情報Iの追加などで満点が変わっている大学があります。必ず当該年度の募集要項で確認してください。
Gouこの計算を志望校3校でやってみてください。5分で終わります。多くの受験生が「英語は全大学で同じくらい重要」と思い込んでいますが、実際は3倍違います。時間の配分を決める前に、まず数字を出してください。
二次比率と英語比率は連動しない
ここが本記事で最も伝えたい点です。受験情報でよく見る「二次比率」は、英語の重さを表しません。
二次重視なのに英語が軽い例
群馬大学医学部医学科の二次比率は約49%で、二次重視の部類に入ります。ところが個別学力検査は数学150点、理科150点、小論文150点で、「英語」という科目がありません。
英語で取れるのは共通テストの100点だけ。総合925点に対して10.8%です。二次比率が高いからといって英語の対策を厚くすると、配点の実態から外れます。
共テ重視なのに英語が重い例
徳島大学は共通テスト900点、二次400点。共テの比重が約7割という、国公立医学部の中でもかなりの共テ重視型です。
ところが二次400点の内訳は英語200点と数学200点で、英語が二次のちょうど半分を占めます。共通テストの英語200点と合わせると、英語の総配点は400点。総合1300点に対して30.8%となり、今回調べた中で最も高い比率になりました。


だから見る順番が決まる
志望校を英語の観点で評価するなら、次の順で確認してください。
- 二次に「英語」という科目があるか
- 二次の英語配点はいくらか
- 共通テストの英語配点はいくらか(圧縮・傾斜に注意)
- 総合満点はいくらか
- 計算式に入れる
1番目を飛ばすと、そもそも出題されない形式の練習に時間を使うことになります。医学部には英語という科目名が存在しない大学が実際にあります。
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「比率が高い大学は英語得意者に有利」は本当か
正確には「増幅される」
よく見る助言に「英語が得意なら、英語の配点が高い大学を選べ」があります。半分は正しいのですが、そのまま受け取ると危険です。
正確に言うと、配点比率が高い大学は英語の得意不得意が増幅される大学です。得意なら有利になり、苦手なら不利になる。振れ幅が大きくなるだけで、一方的に有利になるわけではありません。
数字で確かめる
英語で合格者平均より10%多く取れる受験生を想定します。
徳島大学なら英語の総配点は400点。10%で40点のアドバンテージとなり、総合1300点に対して約3.1%に相当します。
群馬大学なら英語の総配点は100点。10%で10点。総合925点に対して約1.1%です。
差は約3倍。確かに比率の高い大学のほうがアドバンテージは大きくなります。
ただし同じ計算が逆向きにも成り立ちます。英語が合格者平均より10%低ければ、徳島では40点のビハインドを他科目で埋めることになります。群馬なら10点で済みます。
母集団も変わる
もう1つ見落とされがちな点があります。配点比率が高い大学には、英語を武器にする受験生が集まります。母集団の英語力そのものが上がるため、相対的な優位は数字ほど大きくなりません。
「英語が得意だから英語の配点が高い大学を受ければ勝てる」という単純な話にはならない、ということです。
裏返しの効用もある
配点比率の合計は100%です。英語の比率が上がれば、他科目の比率は下がります。
英語が得意で数学が苦手な受験生にとって、英語比率30%の大学は「英語で稼げる」と同時に「数学の失点が響きにくい」大学でもあります。この二重の効果まで考えると、科目間のバランスで志望校を選ぶ意味が出てきます。
逆に全科目が均等に得意なら、配点比率で志望校を選ぶ意味はほとんどありません。倍率や出題形式との相性で決めるほうが合理的です。
比率より先に確認すべき3つ


配点比率は判断材料の1つでしかありません。優先度としては次の3つのほうが上です。
1. 出題形式との相性
同じ英語200点でも中身がまったく違います。
自由英作文が出る大学、和訳中心の大学、英文を読んで日本語だけで答える大学、会話文が出る大学、リスニングを課す大学。得意な形式と苦手な形式は誰にでもあります。
比率が高くても、自分が最も苦手な形式ばかり出る大学なら得点にはつながりません。過去問を3年分見て形式を確認してから比率を見てください。
たとえば島根大学は英語300点・120分で大問5題。長文読解に加えて自由英作文と和文英訳が出るとされています。同じ300点でも、マーク中心の大学とは必要な力が違います。


2. 合格最低点の率
比率が高い大学でも、合格最低点が7割なら英語で満点を取る必要はありません。
見るべきは「英語で何点必要か」であって「英語が何%か」ではありません。合格者平均から逆算して、英語の目標点を実数で持つほうが実用的です。
島根大学の2025年度は、合格最低点が総合932.90点/1190点(78.4%)、合格者平均が総合970.71点/1190点(84.6%)とされています。この数字があれば、英語で何点必要かを逆算できます。
3. 二段階選抜の有無と基準
国公立では、共通テストの得点で二次に進めないことがあります。二次の英語配点がどれだけ高くても、足切りにあえば0点と同じです。
共通テストの比重が軽い大学ほど、この点を見落としがちです。予告倍率を必ず確認してください。


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配点比率を調べて英語の優先度が下がった場合、浮いた時間を他科目に回すことになります。抜けを短時間で埋めるなら講義型が効率的です。
比率を出したあと、何をするか
計算して終わりでは意味がありません。数字を勉強時間の配分に落とし込みます。
比率が高い大学(25%以上)が第一志望なら
英語を主戦場に据えてよい配点です。ただし前述の通り母集団の英語力も高いので、「得意だから安心」ではなく「ここで差をつける」という前提で仕上げてください。
とくに二次に記述が多い大学では、添削を受けているかどうかが直接効きます。和訳、内容説明、英作文は独学で伸ばしにくい領域です。
横浜市立大学のように共通テストでも英語300点・リーディング240点への傾斜配点とされる大学では、共テ対策の中でもリーディングの比重を上げる判断が必要になります。


比率が低い大学(15%未満)が第一志望なら
英語に投じる時間を減らし、理科と数学に回す判断が成り立ちます。
ただしゼロにはできません。共通テストで英語を落とすと、二段階選抜と総合点の両方に効きます。「共通テストで確実に取る」ことに絞り、二次形式の記述対策は最小限にする、という設計が合理的です。
併願校で比率が大きく違う場合
これが最も判断の難しいケースです。第一志望が10%台、併願校が25%以上なら、英語の準備量を併願校に合わせる必要があります。
このとき優先すべきは、両校に共通して必要な力です。読解速度と語彙は、どの大学でも土台になります。逆に自由英作文のように出る大学と出ない大学が分かれる形式は、出る大学の配点を見てから投資量を決めてください。




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よくある4つの誤解
「二次比率が高い大学は英語も重い」
成り立ちません。群馬大学は二次比率約49%ですが、二次に英語という科目がなく総合英語比率は10.8%です。二次比率と英語比率は別の指標です。
「共テ重視の大学は英語が軽い」
これも成り立ちません。徳島大学は共通テスト900点対二次400点の共テ重視型ですが、二次400点の半分が英語で、共テ英語200点と合わせると総合英語比率は30.8%です。
「英語が得意だから配点の高い大学を受ければ勝てる」
半分正しく、半分危険です。配点比率が高い大学には英語を武器にする受験生が集まるため、相対的な優位は数字ほど大きくなりません。判断材料の1つとして使うのは構いませんが、これだけで決めないでください。
「配点比率が同じなら難易度も同じ」
まったく別の話です。同じ英語300点でも、記述中心の大学とマーク中心の大学では必要な力が違います。比率は量の話であって、質の話ではありません。
まとめ
医学部英語の配点比率は、志望校選びの入口として有効な指標です。ただし読み方を間違えると判断を誤ります。
押さえるべきことは4つです。
第一に、使う式は「(共テ英語の配点+二次英語の配点)÷総合満点」の1つだけだということ。二次の中での英語の割合ではなく、合計点に対する割合で見てください。共通テストは圧縮・傾斜される場合があるため、大学が採用する配点を使います。
第二に、実際に約3倍の幅があること。当ブログで個別に調べた範囲では、徳島大学が30.8%(共テ英語200点+二次英語200点/1300点)、和歌山県立医科大学が26.9%(150点+200点/1300点)、横浜市立大学が25.0%(300点+300点/2400点)、島根大学が24.2%(100点+300点/1650点)、群馬大学が10.8%(100点+なし/925点)でした。
第三に、二次比率と英語比率は連動しないこと。群馬は二次比率約49%の二次重視型ですが英語は10.8%。徳島は共テ比率が約7割の共テ重視型ですが英語は30.8%。「二次重視だから英語も重い」という推測は成り立ちません。
第四に、比率が高い大学は「有利」ではなく「増幅される」大学だということ。英語で合格者平均より10%多く取れるなら、徳島では総合の約3.1%、群馬では約1.1%のアドバンテージになります。ただし苦手なら同じだけ不利にもなり、さらに比率の高い大学には英語を武器にする受験生が集まります。
そして比率より先に確認すべきものが3つあります。出題形式との相性、合格最低点の率、二段階選抜の有無と基準です。比率は量の指標であって、質と到達点の指標ではありません。
配点は改定されます。本記事の数値も、必ず志望校の公式募集要項で確認してください。まずは志望校3校で計算してみることをおすすめします。5分で終わり、そのあとの数ヶ月の時間配分が変わります。




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