図表やグラフが出る医学部英語は、思われているより多くあります。しかも「図表問題」と一括りにされていますが、実際には2種類です。マーク式で読み取る型と、英語で説明する型。この2つは必要な英語がまったく違います。読み取る型で要るのはデータと英文を照合する速度で、説明する型で要るのは増減と比較を表す表現です。東京女子医科大学は大問4題のうち2題に図表・グラフが絡むデータ重視型とされ、佐賀大学は大問4が図表を英語で説明する設問とされています。本記事は、志望校がどちらの型かを確認したうえで、それぞれの対処を整理します。
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図表問題は2種類ある

当ブログで個別に調べた大学を分類します。
| 型 | 何をするか | 確認できた大学 |
|---|---|---|
| 読み取る型(マーク式) | 図表と英文を照合して選ぶ | 東京女子医科大学(大問4題のうち2題に図表・グラフが絡む)、埼玉医科大学(大問4付近の図表・データ問題)、金沢医科大学(単なるグラフだけでなく論理構造の図解も出るとされる)、愛知医科大学(グラフや図表が含まれる年度もある)、北里大学(獣医。年によって図表読み取りが出る)、聖マリアンナ医科大学(共通テストのポスター・広告・図表読解と同系統) |
| 空所補充で説明 | データを説明する英文の空所を埋める | 東海大学(円グラフ・棒グラフ・折れ線グラフ・表などのデータを読み取り、説明する英文の空所を埋める) |
| 説明する型(記述) | 図表の内容を英語で書く | 広島大学(図表英作文)、佐賀大学(大問4は図表を英語で説明)、長崎大学(グラフを見て150〜200語の自由英作文)、山口大学(図表を使った説明が頻出とされる) |
| 年により出る | 出題が読めない | 九州大学(2026年度に3年ぶりに図表を説明させる出題があったとされる) |
Gou図表問題を「共通テストで慣れているから大丈夫」と考える受験生がいますが、二次の図表英作文は別物です。読み取るだけでなく、英語で書く必要があります。ここは準備しないと書けません。
出題形式は改定されます。必ず志望校の最新の過去問で確認してください。




読み取る型は図表を先に読む
マーク式の図表問題で時間を落とす原因は、読む順番です。
英文から読み始めると、どのデータの話をしているのか分からないまま読むことになります。逆にしてください。
図表を読む順番
- タイトル(何のデータか)
- 軸のラベルと単位(%なのか人数なのか、年なのか年齢なのか)
- 期間や対象(いつの、誰のデータか)
- 最も差が大きい箇所(どこが目立つか)
ここまで20秒で終わります。この20秒があると、英文を読む速度が変わります。
単位の取り違えに注意
図表問題で最も多い失点は、単位の見落としです。
percent と percentage point は別物です。「20%から30%になった」場合、増加は10 percentage points であって10パーセントの増加ではありません。
選択肢がこの差で作られることがあります。埼玉医科大学の対策でも書いたとおり、図表・データ問題は全文精読を最も回避すべきセクションです。速く処理するぶん、単位だけは必ず確認してください。
図解が出る大学もある
金沢医科大学は、単なるグラフだけでなく論理構造の図解が出題されるのが特徴とされています。
これは数値ではなく、概念の関係を示した図です。矢印が何を意味するか、囲みが何を表すかを本文と対応させる必要があります。
数値グラフの練習だけでは対応できないので、志望校がこの型なら過去問で慣れておいてください。




説明する型は3層で書く


図表英作文で手が止まる理由は、何を書けばいいか決まっていないからです。書く内容は3層に分けられます。
第1層: 事実
図表が示している事実を、数値とともに述べます。
The graph shows the percentage of people who … と始めれば形が決まります。タイトルの言い換えなので、迷う要素がありません。
第2層: 比較
最も差が大きい2点を選んで比較します。
全部を書こうとすると語数が足りません。長崎大学のようにグラフを見て150語から200語を書く場合でも、比較する対象は2つか3つに絞ってください。
第3層: 傾向
時系列のデータなら、増減の傾向を述べます。年ごとの上下ではなく、全体としてどちらに動いているかです。
3層すべてを書く必要はありません。設問が「説明せよ」なら第1層と第2層、「傾向を述べよ」なら第2層と第3層に重心を置きます。
意見を書かない
図表説明で意見を求められていない場合、主張を書くと減点されます。
「したがって政府は対策を取るべきだ」と書きたくなりますが、設問が説明を求めているなら不要です。設問文を読み直してください。
九州大学のように、自由英作文の中で図表を扱う場合は意見が求められることもあります。設問の指示で判断してください。
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使う表現は限られている
図表を説明する英語は、範囲が有限です。覚える量は多くありません。
増加と減少
- increase / rise / grow(増える)
- decrease / decline / drop / fall(減る)
- remain stable / stay constant(変わらない)
前置詞に注意してください。increase by 10% は「10%分増えた」、increase to 10% は「10%まで増えた」です。この2つを混同すると意味が変わります。
程度
- sharply / rapidly(急激に)
- gradually / steadily(徐々に)
- slightly(わずかに)
比較
- twice as many as …(〜の2倍)
- three times higher than …(〜の3倍高い)
- the highest / the lowest(最高/最低)
- compared with …(〜と比べて)
時点
- peaked in 2020(2020年にピークを迎えた)
- reached its lowest point in …(〜で最低になった)
- between 2010 and 2020(2010年から2020年の間で)
これで足ります。20個程度を確実に使えるようにするほうが、50個を曖昧に知っているより点になります。




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図表英作文で崩れる原因が文法なら、書く練習より先に戻る場所があります。時制や比較の単元だけ拾って確認できる教材は、復習の起点として使いやすくなります。
出題が読めない大学への備え
九州大学は、2026年度に3年ぶりに図表を説明させる出題があったとされています。つまり出ない年もあります。
こうした大学が第一志望の場合、判断が難しくなります。毎年出ないものに時間をかけるべきかという問題です。
結論は「最小限だけやる」
図表英作文の準備は、他の英作文対策と重なる部分が大きくなります。文法の正確さも、論理の組み立ても共通です。
固有に必要なのは、増減と比較の表現20個と、3層構造の型だけです。これなら2時間で終わります。
出ない年が続いても損失は小さく、出た年には確実に効きます。読めない大学にはこの配分が合理的です。
過去に出た形式を確認する
九州大学の対策でも書きましたが、問5が和文英訳から図表を読み取って説明する形式へ変化した経緯があります。
過去問を遡って、いつ出て、いつ出なかったかを数えてください。3年に1度なのか、5年に2度なのかで、優先度は変わります。




AIで図表問題を作る
図表問題は、演習素材を手に入れにくい形式です。図が必要だからです。
ただし工夫すれば、AIでも練習できます。
データを文章で与えさせる
「医療統計に関する架空のデータを文章で説明してください。実際の画像は不要です。年ごとの数値を表形式で示してください。そのうえで、このデータを英語で150語程度で説明する課題を出してください。解答例と、採点で見るべき要素を5つ示してください」
画像がなくても、表形式のデータがあれば図表英作文の練習になります。
自分の答案を採点させる
「以下は表形式のデータと、それについて私が書いた英語の説明です。(1)事実の記述が正確か(2)比較の対象が適切か(3)増減の表現に前置詞の誤りがないか(4)意見を書いていないか、の4点から評価してください。褒める必要はありません」
前置詞の誤りを明示的に見させるのが要点です。increase by と increase to の混同は自分では気づけません。
読み取る型の練習
「以下の表形式のデータについて、内容と一致する選択肢を選ぶ4択問題を4問作ってください。誤答の選択肢のうち1つは、必ず percent と percentage point の混同を使ってください。解答では、各誤答がどこで誤りになるかを示してください」
単位の落とし穴を意図的に含ませると、本番で気づけるようになります。


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図表英作文は添削がないと精度が上がりにくい領域です。とくに「意見を書いてしまう」癖は自分では気づけません。記述が多い国公立が第一志望なら、全寮制・完全個別カリキュラムの予備校が候補になります。
まとめ
図表・グラフ問題は、一括りにできません。
押さえるべきことは4つです。
第一に、2種類あること。マーク式で読み取る型と、英語で説明する型です。東京女子医科大学は大問4題のうち2題に図表・グラフが絡むデータ重視型とされ、東海大学は円グラフ・棒グラフ・折れ線グラフ・表を読み取って説明する英文の空所を埋める形式とされています。一方、広島大学、佐賀大学、長崎大学、山口大学は英語で説明する型です。佐賀大学は大問4が図表を英語で説明する設問、長崎大学はグラフを見て150語から200語の自由英作文とされています。
第二に、読み取る型は図表から先に読むこと。タイトル、軸と単位、期間、最も差が大きい箇所。この20秒で英文を読む速度が変わります。単位の見落としが最も多い失点で、percent と percentage point の差が選択肢に使われることがあります。
第三に、説明する型は3層で書くこと。事実、比較、傾向です。全部を書こうとせず、比較の対象は2つか3つに絞ります。そして意見を求められていないなら主張は書かないでください。
第四に、使う表現は限られていること。increase と decrease、sharply と gradually、twice as many as と compared with、peaked in。20個程度を確実に使えれば足ります。increase by と increase to の違いだけは必ず確認してください。
九州大学のように出題が読めない大学もあります。2026年度に3年ぶりに図表説明が出たとされており、出ない年もあります。この場合は表現20個と3層の型だけを2時間で押さえておくのが合理的です。
まずは志望校の過去問を1年分開いて、図表があるか、あるなら読み取るのか書くのかを確認してください。
入試情報は毎年更新されます。本記事の分類も、必ず志望校の最新の過去問で確認してください。




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