医学部の再受験を決めて、まず単語帳と文法書を買い直す。この順番で始める人がとても多いのですが、その前に確認してほしいことがあります。あなたが受験生だった頃の試験は、もう存在しません。センター試験は2020年1月の実施を最後に終わり、2021年1月から大学入学共通テストに変わりました。変わったのは名前だけではありません。かつて得点源だった発音・アクセントや文法の単独問題は1問も出なくなり、リーディングは全問が読解になり、リスニングの比重は2割から5割に跳ね上がりました。本記事は、再受験生が英語をどう組み直すかを、この変化を起点に解説します。
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まず、試験が別物になったことを確認してください

再受験生が最初に潰すべき誤解は、勉強法ではなく試験の中身についてです。センター試験と共通テストの英語を並べます。
| 項目 | センター試験(2020年1月まで) | 共通テスト(2021年1月から) |
|---|---|---|
| 配点 | 筆記200点 + リスニング50点(計250点) | リーディング100点 + リスニング100点(計200点) |
| リスニングの比重 | 2割(50/250) | 5割(100/200) |
| 筆記・リーディングの中身 | 発音・アクセント、語彙、文法、語句整序、会話、読解 | すべて読解 |
| 語数の目安 | およそ4200語 | およそ6000語 |
同じ80分で、読む量がおよそ1.4倍になり、読解以外の問題が消えました。そしてリスニングの重みが2倍以上になっています。
2027年度入試の共通テストは、2027年1月16日と17日に実施されます。なお、英語には旧課程履修者向けの経過措置科目が設定されていません。2025年度入試では数学や地理歴史・公民に経過措置がありましたが、英語は当初から対象外で、2026年度以降はすべての受験生が同じ問題を解きます。「昔の課程だから」という配慮は英語に関しては存在しません。
Gou再受験の相談で最初に見せてもらうのが、10年前に使っていた単語帳と文法書です。悪い本ではありません。ただ、その本で強くなる部分が、いまの共通テストでは配点をほとんど持っていないことがあります。まず過去問を1年分解いてから、教材を決めてください。
消えた得点源: 発音・アクセント、語句整序、文法の単独問題
センター試験の筆記は、第1問が発音・アクセント、第2問が文法・語法と語句整序、そのあとに会話と読解が続く構成でした。前半は知識で即答できるため、ここを固めて安定した得点源にしていた人が多かったはずです。
共通テストのリーディングでは、この前半が丸ごとありません。発音・アクセント、語句整序は単独の設問としては作られておらず、すべてが読解問題になっています。
これは「文法をやらなくていい」という意味ではありません
ここを取り違えると危険です。文法問題が出ないことと、文法が要らないことは別です。
文法の知識は、単独で問われる代わりに、長い英文を正確に速く読むための土台として使われます。つまり、点数として直接返ってこないのに、やらないと読めないという位置づけに変わりました。得点源から、前提条件に格下げされたと考えてください。
再受験生にとっての実務的な結論は次の通りです。
- 文法は「問題集を解いて正解する」ための勉強ではなく、「英文を読んで構造が見える」ための勉強に切り替える
- 発音・アクセントの暗記に時間を使わない(共通テストでは配点がありません)
- 語句整序の問題集も優先度を下げる(二次試験で出題される大学を受ける場合は別です)
かつて得意だった領域ほど、手をつけると安心できるので、つい時間を使ってしまいます。そこが最大の罠です。
倍以上になったリスニング
センター試験のリスニングは250点中50点、全体の2割でした。共通テストでは200点中100点で、5割です。読む力と聞く力が同じ重さになりました。
しかも中身も変わっています。センター試験は全問が2回読みでしたが、共通テストには1回しか読まれない問題があります。聞き逃したら戻れません。
再受験生の多くは、ここで最も苦戦します。学生時代にリスニングを2割の科目として扱っていた人にとって、対策の総量が単純計算で2倍以上必要になるからです。
先にリスニングから始めてください
再受験の英語で順番を間違えやすいのがここです。単語と文法を固めてからリスニング、と考えるのが自然ですが、逆にしてください。理由は3つあります。
- リスニングは伸びるまでに時間がかかる。最後に回すと間に合わない
- 配点が5割あるので、投下時間あたりの得点効率が高い
- 通勤や家事の時間に進められる。机に向かう時間が取れない再受験生と相性が良い
読解の勉強は机が要りますが、リスニングは要りません。生活の中に組み込める科目から先に始めるのが、時間の少ない人の定石です。
医学部では、この変化が他学部より重くのしかかります
共通テストの変化は全受験生に共通ですが、医学部志望者にとっては影響がより大きくなります。国公立医学部は共通テストの比重が高い大学が多く、しかも大学ごとに換算の仕方が違うからです。
たとえば同じリスニング100点でも、大学によって圧縮される比率が異なります。リスニングが共通テスト英語の半分の重さで扱われる大学もあれば、5分の1程度まで圧縮される大学もあります。志望校がどちらかで、リスニングに割く時間は変わります。


つまり再受験生がやるべきことは、リスニングを闇雲に増やすことではありません。志望校の換算方法を確認して、必要な量を決めることです。ここを確認せずに「共通テストはリスニングが5割だから」と均等に時間を割ると、志望校によっては過剰投資になります。
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ブランクの長さ別・立て直しの順番
「何年ぶりか」で、最初にやることが変わります。目安として3つに分けます。
| ブランク | 最初にやること | 理由 |
|---|---|---|
| 3年以内 | 共通テストの過去問を1年分、時間を計って解く | 形式は知っている。現在地の測定から入れる |
| 5年前後 | 共通テストの形式確認 → 語彙の再起動 → 過去問 | センター末期を知っている世代。形式のずれを先に埋める |
| 10年以上 | 中学英文法の総ざらい → 語彙 → 形式確認 → 過去問 | 土台から抜けている可能性がある。急がば回れ |
10年以上のブランクがある方へ。中学英文法からと言われると遠回りに感じますが、ここを飛ばして高校英文法の問題集に入ると、9月頃に必ず止まります。時制と準動詞と関係詞が曖昧なまま長文に入っても、読めた気がするだけで設問に答えられません。2週間で終わる作業なので、先に済ませてください。
共通するのは「測ってから決める」こと
どのブランクでも、最初の1週間でやることは同じです。共通テストのリーディングを1年分、80分測って解いてください。採点して点数を見るためではありません。確認するのは次の3つです。
- 時間内に最後まで到達できたか
- 到達できなかった場合、どの大問で止まったか
- 止まった原因は、語彙か、構造把握か、単純な速度か
この3点が分かれば、買うべき教材が決まります。逆に、これを確認せずに参考書を買うと、昔の自分に合った本を選んでしまいます。
働きながらなら、英語は「毎日短く」が効きます
社会人として働きながら再受験する場合、まとまった学習時間は週末にしか取れません。ここで多くの人が、平日は数学と理科、週末に英語をまとめて、という配分にします。英語に関しては、これが最も効率の悪い配分です。
英語は接触頻度で伸びる科目です。週に1回3時間より、毎日30分のほうが結果が出ます。逆に数学は、まとまった時間で1問を考え抜く必要があるので週末向きです。
現実的な配分の例を挙げます。
- 平日: 英語のみ30分から45分(通勤中のリスニング20分+帰宅後の長文1題)
- 週末: 数学と理科を中心に、英語は過去問1年分を時間を計って解く
平日の英語を「通勤中に完結する形」に設計できるかどうかが分かれ目です。机に向かわないと勉強できない形にすると、疲れた日に飛びます。飛んだ翌日に戻すコストのほうが、その日の30分より大きいです。
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働きながらの再受験と相性が良いのは、必要な単元だけを短時間で拾える形式です。通勤中に講義、帰宅後に演習という分け方で使ってください。
二次試験は、共通テストの延長線上にありません
ここまで共通テストの話をしてきましたが、国公立医学部を受けるなら二次試験があります。そして二次の英語は、共通テストとは別の試験だと考えてください。
共通テストのリーディングは全問が選択式です。一方、国公立医学部の二次試験には、下線部和訳、日本語での内容説明、要約、自由英作文といった記述式の設問が並びます。選択式で8割取れる人が、記述式で半分も書けないということが普通に起こります。
さらに、英語が個別試験の総配点に占める割合は大学差が大きく、1割程度の大学から3割を超える大学まであります。再受験生は使える時間が限られているので、この比率を見てから志望校を決める価値があります。


学士編入という選択肢もあります
すでに4年制大学を卒業している方は、一般選抜だけでなく学士編入も候補になります。学士編入の英語はTOEICやTOEFLのスコア提出で済む大学と、独自の英語試験を課す大学に分かれ、対策の方向が真逆になります。一般選抜と並行するかどうかは、英語の準備の形が違うので早めに決めてください。


まとめ
医学部再受験の英語は、昔の勉強のやり直しではありません。試験そのものが変わっているので、組み直しになります。
要点をまとめます。
- センター試験は2020年1月で終了。共通テストは配点がリーディング100点とリスニング100点
- リスニングの比重は2割から5割へ。1回しか読まれない問題がある
- 発音・アクセント、語句整序、文法の単独問題は出ない。文法は得点源から前提条件に変わった
- リーディングは全問読解で、語数はおよそ4200語から6000語へ
- 英語には旧課程向けの経過措置がない。全員が同じ問題を解く
- 最初の1週間は教材を買わず、過去問を1年分80分で測る
- 働きながらなら、英語は平日に毎日30分。数学と理科を週末に寄せる
まず、共通テストの過去問を1年分解いてください。教材選びはそのあとです。順番を逆にしなければ、ブランクは取り返せます。
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