私立医学部の英語は60分から90分です。この数字を見て「60分か、速読が必要だな」と判断していませんか。それが対策を誤らせます。当ブログで個別に調べた大学から1題あたりの時間を計算すると、東京慈恵会医科大学は60分で長文3題、つまり1題20分。近畿大学は60分で8題、1題7.5分。同じ60分の試験でありながら、1題に使える時間は約2.7倍違います。前者は読み間違いが命取りになる精読型、後者は迷ったら捨てる判断が要る高速処理型。まったく別の試験です。本記事は、試験時間ではなく1題あたりの時間で志望校を分類し、タイプ別の対策を整理します。
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1題あたりの時間を計算する

使う式は単純です。
1題あたりの時間 = 試験時間 ÷ 大問数
過去問の表紙と目次を見れば1分で計算できます。
当ブログで個別に調べた8校
| 大学 | 試験時間 | 大問数 | 1題あたり | タイプ |
|---|---|---|---|---|
| 東京慈恵会医科大学 | 60分 | 長文3題 | 20.0分 | 精読型 |
| 東京医科大学 | 60分 | 4題(全マーク) | 15.0分 | 中間 |
| 杏林大学 | 60分 | 4題 | 15.0分 | 中間 |
| 藤田医科大学 | 90分 | 6題 | 15.0分 | 中間 |
| 愛知医科大学 | 80分 | 7題 | 11.4分 | やや速度型 |
| 北里大学 | 70分 | 7題 | 10.0分 | 速度型 |
| 東海大学 | 70分 | 8題 | 8.75分 | 速度型 |
| 近畿大学 | 60分 | 8題 | 7.5分 | 高速処理型 |
最短の近畿大学(7.5分)と最長の東京慈恵会医科大学(20.0分)で約2.7倍の開きです。
試験時間だけを見ていると、慈恵も近畿も同じ「60分」に見えます。しかし中身はまったく違います。
試験時間のみ判明している大学
大問数まで確認できていない大学もあります。
- 60分: 東京女子医科大学、獨協医科大学
- 70分: 埼玉医科大学
- 90分: 慶應義塾大学、聖マリアンナ医科大学、久留米大学、兵庫医科大学
- 140分(他科目との合算試験): 昭和医科大学
昭和医科大学の合算形式については後述します。
試験時間・大問数・出題形式は改定されます。必ず志望校の当該年度の募集要項と最新の過去問で確認してください。
Gou毎年「うちの志望校は60分だから速読ですよね」と聞かれます。慈恵なら違います。60分でも長文3題なら1題20分。速く読むより正確に読むほうが大事です。時間だけで判断しないでください。
平均値の正しい使い方
1題あたりの時間は目安であって、そのまま配分表にはなりません。ここを誤解すると本番で破綻します。
大問の重さは同じではない
大問1が短文の空所補充10問なら5分で終わりますが、長文読解なら20分かかります。均等に割ると、軽い大問で時間を余らせ、重い大問で足りなくなります。
正しい使い方は次の4段階です。
- まず1題あたりの平均時間を出す。これで試験の密度が分かる
- 過去問で大問ごとの実際の所要時間を測る
- 平均より重い大問と軽い大問を仕分ける
- 軽い大問を早く終わらせ、重い大問に時間を寄せる
平均値は「この試験がどれくらい詰まっているか」を知るための指標です。配分そのものは実測で決めてください。
マーク式と記述式で必要時間が変わる
同じ長文1題でも、選択肢を塗るだけの設問と、和訳や内容説明を書く設問では所要時間が倍以上違います。
東京医科大学は2026年度から全マーク4題になり、和訳が廃止されたとされています。東京慈恵会医科大学も2026年度から英訳が廃止され、長文3題になったとされています。
形式変更があった大学では、古い年度の過去問で時間を測ると実態と合いません。必ず直近の形式で測ってください。




タイプ別の対策


高速処理型(1題10分未満)
該当例は近畿大学(7.5分)、東海大学(8.75分)、北里大学(10.0分)です。
求められるのは処理速度と、迷ったときの判断の速さ。1問に留まると、その分だけ後半が崩れます。
対策の柱は3つです。
- 時間を計らない演習を禁止する。必ずストップウォッチを使う
- 「捨てる判断」を練習する。30秒考えて糸口が見えない設問は印を付けて次へ
- 大問ごとの目標時間を紙に書いて机に置く
演習で記録するのは正答率ではなく、最後の大問に取りかかった時点で残っていた時間です。この数字が安定すれば得点も安定します。
速度を上げる訓練としては、返り読みの禁止が最も効きます。1回目は分からない語があっても止まらず最後まで進み、印だけ付けて読み終わってから回収する。読んでいる最中に辞書を引くのが、速度を潰す最大の原因です。




精読型(1題15分以上)
該当例は東京慈恵会医科大学(20.0分)、東京医科大学(15.0分)、杏林大学(15.0分)、藤田医科大学(15.0分)です。
時間には余裕があります。そのぶん、読み間違いがそのまま失点になります。速く読む必要はありません。正確に読む必要があります。
対策の柱は3つです。
- SVOCを取る習慣を固定する。主語と述語動詞を丸で囲み、修飾関係を矢印で結ぶ
- 代名詞(it, they, this)が何を指すかを、その場で本文中の語に置き換える
- 段落ごとに日本語で1行の要点メモを書く
3番目が効きます。設問に戻るとき、本文を読み直す時間がほぼゼロになります。
精読型では時間が余ることも珍しくありません。余った時間で何をするかを事前に決めておくのが差になります。字数指定の確認、指示語の処理漏れ、スペルの点検。この3つを順に見る、と決めておいてください。


中間型(1題10分から15分)
該当例は愛知医科大学(11.4分)です。
速度と精度の両方が求められ、最も設計が難しいタイプになります。
推奨するのは、大問ごとに「速く処理する大問」と「じっくり読む大問」を仕分けることです。短文の空所補充や文法問題は速く、長文読解はじっくり。仕分けを事前に決めておけば、当日の判断が要りません。


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昭和医科大学の合算試験という例外
昭和医科大学は140分の合算試験とされています。英語だけで140分ではなく、他科目と合わせて140分という形式です。
この形式の特徴は、科目間の時間配分を自分で決められることです。英語が得意なら英語を速く終わらせて他科目に回せますし、逆もできます。
ただし裏返せば、配分を誤ると取り返しがつきません。1科目に時間を使いすぎると、他科目が壊滅します。
対策は3つです。
- 過去問で「自分にとっての最適配分」を先に決める。当日は考えない
- 決めた配分を紙に書いて持っていく。頭の中の計画は本番で崩れます
- 各科目の切り上げ時刻を実時刻で書く
3番目が重要です。「開始から45分」ではなく「10時45分」と書いてください。試験中に経過分を計算するのは、思っている以上に負担になります。


併願校のタイプが違う場合
私立医学部を複数校受けるなら、時間設計の違いが問題になります。
東京慈恵会医科大学(1題20分)と近畿大学(1題7.5分)を併願するなら、まったく違う頭の使い方を切り替える必要があります。精読の癖がついた状態で高速処理型に臨むと時間が足りず、逆だと読み飛ばして誤答します。
対処の原則
- 演習日を分ける。同じ日に精読型と高速処理型を混ぜない
- 週の前半に精読型、後半に高速処理型のように固定する
- 直前期は受験日の近い順に寄せる
同じ英語でも要求される筋肉が違います。混ぜて練習すると、どちらも中途半端になります。
共通して効く土台
タイプが違っても、次の2つはどの大学でも土台になります。
1つは語彙です。読めない単語があれば、速度も精度も落ちます。2つめは構文把握。SVOCが取れなければ、速く読んでも誤読します。
併願校の形式がばらける場合は、まずこの2つに時間を寄せてください。形式別の練習はそのあとです。


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タイプ別の対策に入る前に、語彙と構文の土台が要ります。抜けがある状態で時間配分だけ練習しても得点は動きません。
志望校の時間設計を決める手順
過去問を使って、次の順で進めてください。
- 試験時間と大問数を確認し、1題あたりの平均時間を計算する
- タイプを判定する(高速処理型/中間型/精読型/合算型)
- 過去問を1年分、大問ごとに時間を測って解く
- 平均より重い大問と軽い大問を仕分ける
- 本番の配分を決め、各大問の切り上げ時刻を書き出す
- 決めた配分で2年分を通しで解き、守れるか確認する
3番目を飛ばす受験生が多いのですが、ここが最も重要です。実測がなければ、どの大問が自分にとって重いのか分かりません。
記録するのは得点ではなく次の3つです。
- 最後の大問に取りかかった時点で残っていた時間
- 予定より時間を超過した大問はどれか
- 空欄のまま提出した設問の数(目標0問)
この3つが安定してから、得点を気にしてください。順番が逆だと、いつまでも本番で時間が足りません。


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よくある4つの誤解
「試験時間が短い大学は難しい」
時間の長短は難易度と直結しません。60分でも長文3題なら1題20分あり、精読の余裕があります。逆に90分でも大問が多ければ余裕はありません。見るべきは1題あたりの時間です。
「1題あたりの時間を均等に割ればよい」
大問の重さが違います。短文の空所補充と長文読解では所要時間が倍以上違うため、均等割りは破綻します。平均値は密度を知るための指標であって、配分表ではありません。
「過去問を解けば配分は自然に身につく」
時間を計らずに解いても身につきません。必ずストップウォッチを使い、大問ごとの所要時間を記録してください。記録がなければ改善のしようがありません。
「形式は毎年同じ」
2026年度に東京慈恵会医科大学が英訳を廃止し、東京医科大学が和訳を廃止したとされています。形式変更は実際に起こります。古い年度で時間を測ると実態と合わないことがあるため、直近の形式で測ってください。
まとめ
私立医学部の英語を「60分だから」「90分だから」で判断しないでください。
押さえるべきことは4つです。
第一に、見るべきは1題あたりの時間だということ。試験時間を大問数で割るだけです。当ブログで調べた範囲では、東京慈恵会医科大学が60分で長文3題(1題20.0分)、東京医科大学と杏林大学が60分で4題(15.0分)、藤田医科大学が90分で6題(15.0分)、愛知医科大学が80分で7題(11.4分)、北里大学が70分で7題(10.0分)、東海大学が70分で8題(8.75分)、近畿大学が60分で8題(7.5分)でした。最短と最長で約2.7倍の開きです。
第二に、タイプによって対策がまったく違うこと。高速処理型(1題10分未満)は処理速度と捨てる判断、精読型(1題15分以上)はSVOCと代名詞処理と段落メモ、中間型は大問ごとの仕分けが柱になります。
第三に、平均値は配分表ではないこと。大問の重さが違うため、必ず過去問で大問ごとの所要時間を実測し、重い大問に時間を寄せてください。
第四に、形式変更があること。2026年度に東京慈恵会医科大学が英訳を廃止し、東京医科大学が和訳を廃止したとされています。古い年度の過去問で時間を測ると実態と合いません。
なお昭和医科大学は他科目との合算140分という特殊形式とされています。科目間の配分を自分で決められる反面、誤ると取り返しがつきません。配分を紙に書き、切り上げ時刻を実時刻で持っていってください。
試験時間は募集要項に、大問数は過去問に書いてあります。割るだけで1分です。その1分が、これからの数ヶ月の演習の質を変えます。
試験時間・大問数・出題形式はいずれも改定されます。本記事の数値も、必ず志望校の公式募集要項と最新の過去問で確認してください。




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