医学部英語の対策というと、英作文と和訳の話になりがちです。ところが国公立の二次で実際に多いのは、英文を読んで日本語で説明する設問です。当ブログで個別に調べた範囲では、東京大学が要約70から80字、東京科学大学が内容説明60から100字、佐賀大学が要約280字前後、愛知医科大学と東京慈恵会医科大学が300文字。字数は60字から400字まで幅があります。そして和訳とは別のスキルです。和訳は英文を日本語に直す作業ですが、内容説明は読んだ内容を自分の言葉でまとめる作業。しかも字数指定がある。60字と300字では、書き方がまったく変わります。本記事は、11校の実データをもとに字数別の答案の型を整理します。
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日本語記述が出る大学と字数

当ブログで個別に調べた範囲で、日本語での内容説明や要約が確認できた大学です。
| 大学 | 確認できた字数・形式 |
|---|---|
| 東京大学 | 要約70〜80字 |
| 東京科学大学 | 内容説明60字から100字 |
| 弘前大学 | 100字以内の日本語で説明 |
| 佐賀大学 | 要約280字前後 |
| 愛知医科大学 | 日本語で300文字 |
| 東京慈恵会医科大学 | 日本語で300文字 |
| 和歌山県立医科大学 | 内容説明中心。大問4は300字 |
| 京都大学 | 内容説明(主語・変化・理由の明示が要る) |
| 神戸大学 | 内容説明 |
| 愛媛大学 | 60字以内の日本語で説明(科目名は総合問題) |
| 群馬大学 | 100字・200字・400字(科目名は小論文) |
字数は60字から400字まで。同じ「日本語で書く」でも、要求されるものが違います。
なお愛媛大学は科目名が「総合問題」、群馬大学は「小論文」です。科目名に英語がなくても、英文を読んで日本語で答える設問は出ます。
出題形式は改定されます。必ず志望校の最新の過去問で確認してください。
和訳と内容説明は別のスキル
混同されがちですが、この2つは別物です。ここを区別しないまま練習すると、和訳はできるのに内容説明で点が取れない状態になります。
和訳
英文の構造をそのまま日本語に移します。原文にない情報を足さず、原文にある情報を落とさない。構文が取れているかを見られます。
評価されるのは正確さです。自分の解釈を入れる余地はほとんどありません。
内容説明
英文を読んで、問われた内容を自分の言葉でまとめます。原文の語順に縛られず、必要な要素を拾って再構成します。
評価されるのは、必要な要素が入っているかと、字数に収まっているかです。原文をそのまま訳しても、字数に入らなければ点になりません。
要約
内容説明よりさらに抽象度が上がります。本文全体、あるいは指定された段落の論旨を圧縮します。
評価されるのは、何を残して何を捨てたかの判断です。
Gou「和訳の練習はしているのに内容説明で点が取れない」という相談をよく受けます。当然です。別の技術だからです。和訳は英文を日本語に直す作業、内容説明は読んで再構成する作業。混ぜて練習しても、どちらも中途半端になります。
対策の順番
和訳ができない状態で内容説明の練習をしても伸びません。まず構文が取れること。そのうえで、要素を選んで再構成する練習に進んでください。
英作文と和訳の対策については別の記事にまとめています。本記事は「日本語で書く」設問に絞っています。


字数別の答案テンプレート


60字以内は1文で書き切る
要素は1つか2つまで。型は「〜ということ。」「〜という意図。」です。
修飾語を削り、主語と述語だけを残す意識で書いてください。60字は思っているより短く、日本語では30語程度しか入りません。
書き始める前に、入れる要素を2つに絞ってからペンを持つこと。書きながら考えると必ず溢れます。
70字から100字は2文構成
1文目で結論、2文目で根拠か補足。
型は「〜である。なぜなら〜だから。」または「〜である。これは〜を意味する。」です。
東京大学の要約70から80字、東京科学大学の内容説明60から100字、弘前大学の100字以内がこのゾーンです。
100字あれば要素は3つまで入ります。ただし4つ入れようとすると、それぞれが説明不足になります。




200字前後は3文または2段落
1文目で本文の主張の要約。2文目でその主張が成立する条件、または限界。3文目でだから何が言えるか。
型は「筆者は〜と述べている。ただしこれは〜という前提のもとで成立する。したがって〜が課題として残る。」です。
「ただし」を1回入れてください。無条件の肯定は、200字では中身が薄く見えます。
280字から300字は4段落
各70字程度で組みます。
- 第1段落: 何についての話かを1文で
- 第2段落: 本文の主張または現象の説明
- 第3段落: その理由、または対立する見方
- 第4段落: 結論、または残る課題
佐賀大学の要約280字前後、愛知医科大学と東京慈恵会医科大学の300文字、和歌山県立医科大学の大問4がこのゾーンです。
300字は、書き始める前に段落構成をメモしないと破綻します。本文の余白に「①現象 ②理由 ③反論 ④結論」のように4語だけ書いてから書き始めてください。




400字は具体を1つ入れる
4段落、各100字。300字より1段落あたりの余裕が出るぶん、具体例を1つ入れられます。
- 第1段落: 現状の整理
- 第2段落: 対立点の明示
- 第3段落: 自分の提案または本文の結論
- 第4段落: 想定される反論への手当て
400字で最も多い失敗は、抽象論だけで終わることです。第3段落に必ず具体を1つ入れてください。
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減点されない5つのルール
字数にかかわらず、次の5点は必ず守ってください。日本語記述で点を落とす受験生の失点は、内容の間違いよりこの形式面に集中します。
1. 設問の文末に対応させる
「どういうことか説明せよ」なら「〜ということ。」、「なぜか説明せよ」なら「〜だから。」、「意図を説明せよ」なら「〜という意図。」で終えます。
これだけで数点変わります。文末が対応していない答案は、内容が合っていても減点されます。
2. 指示語を残さない
「それ」「これ」「彼ら」「この問題」を、必ず具体名に置き換えます。
本文に it があって、それを「それ」と訳したまま提出する答案が非常に多い。採点者は本文を理解しているかを見ているので、指示語のままでは理解を示せません。
3. 字数の8割以上を使う
「100字以内」なら80字以上を目指します。60字で終わると、要素が足りていない可能性が高い。
逆に「以内」の超過は減点対象です。必ず数えてください。
4. 本文にない一般論を足さない
内容説明は、あくまで本文の内容を説明する設問です。自分の知識や意見を足すと減点されます。
ただし「あなたの考えを述べよ」と明示されている場合は例外です。設問の指示を正確に読んでください。
5. 下書きをしない
時間が足りなくなる最大の原因です。頭の中で1文を組み立ててから書き始めてください。
どうしても構成が必要な300字以上の場合は、余白に段落の骨格を4語程度メモするだけにとどめます。文章の下書きはしないことです。
内容説明で何を書けばいいか分からないとき
この相談が最も多く来ます。答えは設問文の中にあります。
京都大学のように「どういうことか」と問う設問では、次の3点を含めると外しません。
主語(誰が、何が)
本文の主語をそのまま使わず、具体化します。「それ」ではなく「遺伝子検査の結果」のように。
変化(どうなったか、どう変わるか)
多くの下線部は、何かが変化したこと、あるいは変化しうることを述べています。その変化を明示します。
理由(なぜそうなるか)
字数に余裕があれば、変化の理由や背景を加えます。60字なら省くこともありますが、100字以上なら入れてください。
この3点をチェックリストにして、書いたあとに確認する。それだけで内容の抜けが減ります。




要約の圧縮手順
要約は内容説明より難しい設問です。何を残して何を捨てるかの判断が入るためです。
手順1: 段落ごとに1行メモを書く
本文を読みながら、各段落の要点を日本語10文字から15文字で書きます。5段落なら5行のメモができます。
手順2: メモから捨てる段落を決める
具体例だけの段落、繰り返しの段落は捨てます。残るのは主張と、その根拠です。
手順3: 残ったメモをつなぐ
接続を補いながら1つの文章にします。この段階で字数の8割程度になるはずです。
手順4: 字数に合わせて調整する
超過していれば修飾語を削る。足りなければ、捨てた段落から1つ戻す。
東京大学の70〜80字という制約
70字から80字は、日本語で35語から40語程度です。段落メモ5行のうち、実質2行分しか入りません。
だから手順2の「捨てる判断」が決定的になります。読んだあとすぐに書き始めるのではなく、何を捨てるかを決めてから書いてください。


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日本語記述は独学で伸ばしにくい領域です。自分では正しいつもりで書いた答案が、採点基準では点にならないことがあります。継続的な添削を受けたい浪人生には全寮制・完全個別のこの予備校が候補になります。
AIで添削と字数感覚を鍛える
日本語記述は、書いただけでは伸びません。減点箇所を指摘されて初めて直ります。ただし独学では指摘してくれる相手がいない。ここがAIの使いどころです。
減点箇所だけを出させる
「以下は英文の内容説明を求める設問と、それに対する私の日本語の答案です。次の観点だけで評価してください。設問の文末に対応しているか、指示語を具体名に置き換えているか、字数指定を守っているか、本文にない情報を足していないか。抽象的なままの箇所があれば指摘してください。褒める必要はありません」
「褒める必要はありません」を必ず入れてください。指定しないとAIは励ましから入り、肝心の減点箇所が埋もれます。
字数感覚を鍛える
「以下の英文について、内容を60字以内、100字以内、300字以内の3通りで日本語に要約してください。そのうえで、300字から100字にする際に削った情報、100字から60字にする際に削った情報を、それぞれ箇条書きで示してください」
字数を変えると何が落ちるかを見るのが目的です。20本もやれば字数の感覚が体に入ります。
和訳と内容説明の違いを体感する
「以下の英文の下線部について、忠実な和訳と、100字以内の内容説明の両方を作ってください。そのうえで、両者がどう違うか、内容説明では何を足し何を省いたかを説明してください」
2つを並べて見ると、違いが体感できます。混同している人にはこれが最も効きます。
要約の捨てる判断を学ぶ
「以下の英文を読み、段落ごとの要点を日本語15文字以内でリストにしてください。そのうえで、70字の要約を作る場合に残すべき段落と捨てるべき段落を判定し、その理由を1行で説明してください。要約文そのものは最後に示してください」
要約文を最後に置かせるのが要点です。先に完成品を見ると、判断の過程を学べません。
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内容説明の前提は構文把握です。SVOCが取れない状態で再構成の練習をしても伸びません。抜けがあるなら講義で埋めるのが早道です。
4週間の練習計画
1週目: 和訳で構文を固める
内容説明の前に、構文が取れることを確認します。英文を1日1本、下線部の和訳を書いてください。
AIには誤訳と構文の取り違えだけを指摘させます。自然な日本語かどうかは、この段階では気にしません。
2週目: 60字と100字を書き分ける
同じ英文について、60字と100字の2通りで内容説明を書きます。
60字では何を捨てたか、100字では何を足したかを、自分で言語化してください。この差が字数感覚になります。
3週目: 要約に進む
段落メモを書く習慣をつけます。5段落の英文なら5行のメモ。そこから捨てる段落を決めて、70字から80字にまとめます。
週3本で十分です。要約は1本あたりの負荷が高いので、量より質を優先してください。
4週目: 志望校の字数で通し演習
志望校の過去問から日本語記述の設問だけを抜き出し、実際の字数で解きます。
記録するのは正答率ではなく次の3つです。
- 字数の8割以上を使えたか
- 指示語を残さなかったか(目標0件)
- 設問の文末に対応させたか
この3つが安定してから、内容の質を上げてください。


まとめ
医学部英語の対策は英作文と和訳に偏りがちですが、国公立の二次で実際に多いのは日本語で説明する設問です。
押さえるべきことは4つです。
第一に、和訳と内容説明は別のスキルだということ。和訳は英文の構造をそのまま日本語に移す作業で、評価されるのは正確さ。内容説明は読んだ内容を自分の言葉で再構成する作業で、評価されるのは必要な要素が入っているかと字数に収まっているかです。混ぜて練習すると、どちらも中途半端になります。
第二に、字数によって書き方が変わること。60字以内は1文で要素2つまで。70から100字は2文構成で結論と根拠。200字前後は3文で「ただし」を1回入れる。280から300字は4段落で各70字。400字は4段落で具体を1つ入れる。当ブログで調べた範囲では、東京大学が要約70から80字、東京科学大学が内容説明60から100字、弘前大学が100字以内、佐賀大学が要約280字前後、愛知医科大学と東京慈恵会医科大学が300文字、和歌山県立医科大学の大問4が300字でした。
第三に、減点は形式面に集中すること。設問の文末に対応させる、指示語を具体名に置き換える、字数の8割以上を使う、本文にない一般論を足さない、下書きをしない。この5つを守るだけで点が変わります。
第四に、書けないときは主語・変化・理由の3点を確認すること。京都大学のように「どういうことか」と問う設問では、この3つを含めると外しません。
なお愛媛大学は科目名が「総合問題」、群馬大学は「小論文」です。科目名に英語がなくても英文を読んで日本語で答える設問は出ます。志望校の科目名だけで判断しないでください。
出題形式は改定されます。本記事の一覧も、必ず志望校の最新の過去問で確認してください。今日、過去問を開いて、日本語で書かせる設問が何字なのかを確認するところから始めてください。




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