「京大の英語は和訳と英作文だけだから、単語と構文を固めれば戦える」。この理解のまま夏を迎える受験生を毎年見てきます。しかし京大英語で崩れる人は、英文が読めなかったから落ちるのではありません。読めているのに、日本語が書けずに落ちます。答案に並ぶのは和訳と内容説明、つまりほぼ日本語です。しかも二次1000点のうち英語は300点。共通テスト全科目の275点より、英語1科目のほうが重い配点です。共通テストの貯金で逃げ切る設計にはなっていません。本記事は、京大英語を「英語の試験」ではなく「日本語で書く試験」として設計し直し、AIを使って和訳と英作文を短期間で仕上げる方法を解説します。
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京都大学 医学部英語の基本データ【2026年版】

まず数字で全体像を押さえます。京都大学医学部医学科の前期日程は、共通テストと個別学力検査(二次試験)の合計で合否が決まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語の試験時間 | 120分 |
| 大問数 | 4題(長文読解2題・和文英訳・自由英作文) |
| 二次 英語の配点 | 300点 |
| 二次の内訳 | 英語300点・理科300点・数学250点・国語150点=1000点、加えて面接 |
| 共通テスト | 275点(英語50・国語50・数学50・地歴公民50・理科50・情報25) |
| 二次比率 | 約78%(1000点/1275点) |
| 募集人員 | 前期日程 103名(2026年度) |
| 問題の性質 | 全学部共通問題。医学部専用の出題はなし |
注目すべきは、二次の英語300点が共通テスト全科目275点を上回るという事実です。理科も300点で英語と同額、国語150点も課されます。つまり京大医学部は「理系科目で押し切る」大学ではありません。
一方で2025年度入試の合格者データは、最低点942.50点、平均992.65点、最高点1105.87点(いずれも1275点満点)でした。最低点は73.9%です。二次で7割台半ばを安定して取る力が必要ということになります。英語300点に換算すれば220点前後がひとつの目安です。
第1段階選抜は、共通テストの得点が1000点満点で700点以上であること、かつ募集人員の約3倍までという基準が示されています。なお資料によって共通テストの配点を250点と記載するもの(情報Iを含まない旧配点)と275点と記載するものがあります。面接は段階評価で実施され、配点は公表されていません。配点や科目は年度により改定されるため、出願前に必ず京都大学の公式学生募集要項で確認してください。
京大英語で差がつくのが「日本語力」である3つの理由
理由1: 得点源が和訳と内容説明に集中している
大問Ⅰと大問Ⅱはどちらも長文読解ですが、設問の中身は下線部和訳2題と内容説明1題です。つまり4題構成の半分、配点でいえば大きな塊が「日本語で答える問題」で占められています。
さらに大問Ⅲの和文英訳も、出発点は日本語の理解です。英語を書く前に日本語を分解できなければ手が動きません。純粋に英語だけを問う設問は、実質的に大問Ⅳの自由英作文だけです。
120分のうち、鉛筆が日本語を書いている時間は半分を超えます。ここを「英語の勉強」だけで埋めようとするから伸び止まるのです。
理由2: 2026年度は字数指定つき内容説明が復活した
ここ2〜3年、京大の読解問題は和訳中心に寄っていました。ところが2026年度は大問Ⅰ・Ⅱのいずれにも内容説明問題が加わり、和訳2題+内容説明1題という構成になりました。字数指定つきの内容説明は3年ぶり、語数指定の形式としては8年ぶりの復活とされています。
内容説明は和訳と採点基準が違います。和訳は原文の構造に忠実であることが求められますが、内容説明は本文を再構成して要素を過不足なく並べる作業です。同じ「日本語で書く」問題でも、必要な技術が別物なのです。
和訳の練習しかしてこなかった受験生が、本番でここに時間を吸われます。2026年度の題材は大気生物学の歴史(約730語)と古代メソポタミアの知識記録(約580語)で、いずれも論説文でした。
理由3: 和文英訳は「日本語の言い換え」が先にある
京大の和文英訳は、日本語をそのまま英語に置き換えられない表現が意図的に含まれています。2026年度は「人生の岐路に立った時の選択」がテーマでした。
たとえば「気が置けない友人」を直訳しようとすると固まります。しかし「一緒にいて緊張しなくてよい友人」と日本語で言い換えてしまえば、a friend I can relax with と書けます。求められているのは難しい英語力ではなく、日本語を平易な日本語へ砕く力です。
河合塾も、京大の和文英訳では自分の英語の表現力に見合った形へ置き換える練習が有効だと指摘しています。背伸びした構文に挑戦する試験ではないということです。
Gou京大志望者の和訳答案で一番もったいないのが、英語は正確に読めているのに日本語が読み上げられないケースです。採点者は日本語を読みます。訳し終わったら必ず声に出してください。音にできない訳文は、それだけで減点対象です。
大問別攻略法(長文2題/和文英訳/自由英作文)
大問Ⅰ・Ⅱ 長文読解は「和訳」と「内容説明」を切り分ける
大問Ⅰ・Ⅱは抽象度の高い論説文です。科学史・言語・文化人類学といった知的テーマが好まれ、語数は500語台から700語台が中心です。
下線部和訳では、構文を正確に取ることが第一関門ですが、点差は日本語で開きます。英語の語順を引きずらない、代名詞を指す内容に置き換える、無生物主語を機械的に「〜が私に〜させる」と訳さない、抽象名詞は動詞に開く。この4点を守るだけで印象が変わります。一文が80字を超えたら切ってください。
内容説明では、書く前に本文から3点を拾います。主語(誰が・何が)、変化(何が何にどう変わったか)、理由(なぜそうなったか)です。この3点を字数配分すれば骨組みができます。60字なら各20字が目安です。
字数指定は必ず守ってください。指定の8割を下回る答案は、内容が合っていても要素不足と判断されます。
大問Ⅲ 和文英訳は日本語を砕いてから英語に向かう
攻略の手順は3ステップです。
- 日本語の原文を読み、何を伝えたい文なのかを一言でつかむ
- 直訳できない表現に線を引き、小学生に説明する日本語へ書き換える
- 書き換えた日本語を、確実に書ける構文で英語にする
ステップ2を飛ばして英語に向かうから手が止まります。日本語を日本語に翻訳する工程を挟むことが、京大和文英訳の核心です。
文法の破綻は致命的です。京大は文法運用面での破綻がないことを前提としています。凝った構文で減点を積むより、中学レベルの構文で意味を落とさず書き切るほうが確実に点になります。
大問Ⅳ 自由英作文は指定された構成に従う
2026年度の自由英作文は「世界をより暮らしやすい場所にするためにできること」というテーマで、80〜100語の指定でした。さらに主張の要約・支持する根拠・結論という構成が設問で指示されていました。
近年の京大自由英作文は、この種の細かい誘導が付く傾向にあります。指示がある年は、自分の型よりも指示の順序を優先してください。構成を無視した答案は内容が良くても評価されません。
指定がない年も次の6文で破綻しません。1文目で立場を言い切る、2文目で主張を言い換えて明確化する、3文目で理由を1つだけ述べる、4文目と5文目で具体例を書く、6文目で主張を言い換えて締める。1文15語前後で6文=約90語です。
理由を2つ書こうとすると語数が足りず、どちらも中身のない答案になります。理由は1つ、具体例を厚く。配点が集中するのは具体例の部分です。
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AIを使った京都大学英語 ロードマップ


京大英語の対策が独学で詰まる理由は明確です。和訳の日本語が不自然かどうか、内容説明に要素が足りているかどうかを、自分では判定できないからです。この一点をAIで解決します。
ステップ1(3ヶ月前まで): 訳文の日本語だけをAIに判定させる
自分で和訳を書いたあと、AIには英文の原文を見せずに次のように頼みます。「この日本語だけを読んで、意味が通らない箇所と日本語として不自然な箇所だけを列挙してください」。
原文を見せないのがコツです。原文を渡すと「英語的には正しい」と甘く採点されてしまいます。英語を知らない読者として判定させることで、採点者の視点が再現できます。
素材は過去問でも、英字新聞の論説でも構いません。1日1題、3ヶ月続ければ訳文の日本語が変わります。
ステップ2(1ヶ月前まで): 自由英作文をAIに減点だけ指摘させる
80〜100語を書いたあと、「褒めずに、減点される箇所だけを列挙してください」と指示します。文法ミス、語法ミス、内容の不足の3種類に分類させると、自分の弱点が見えてきます。
ここで重要なのは、AIに模範解答を書かせないことです。AIの美しい英語を眺めても書けるようになりません。自分の答案を最小限だけ直した修正版を出させ、その差分だけを覚えてください。
内容説明も同じ手順が使えます。本文の該当箇所と自分の解答を貼り、「抜けている要素を箇条書きで指摘してください。字数指定は〇〇字です」と頼めば、要素不足が可視化されます。
ステップ3(直前期): 120分通し演習で英作文の時間を先に確保する
大問Ⅳの自由英作文に25分、大問Ⅲの和文英訳に22分、大問Ⅰの長文に33分、大問Ⅱの長文に30分、見直しに10分。この配分を体に入れます。
英作文を先に処理する理由は、和訳に時間を吸われて英作文の骨組みが崩れる失点が最も重いからです。和訳は途中まででも部分点が拾えますが、構成を無視した英作文は評価されません。読解が速く英作文に不安がない人は標準の順番で構いませんが、英作文2題に合計45分以上を必ず残してください。
もうひとつ、直前期に切り替えるべき習慣があります。和訳の下書きをやめることです。京大の分量で下書きから清書まで回す時間はありません。頭の中で日本語を組み立て、一発で書く訓練に移してください。
見直しの10分は、三単現のs、冠詞、時制、単複の4項目だけに絞ります。全体を読み返す時間はありません。
併願戦略と予備校の選び方
京都大学を志望する関西圏の受験生にとって、京都府立医科大学と大阪公立大学は現実的な併願先になります。ただし英語の性格は大きく異なります。京大が和訳と内容説明で「日本語を書かせる」試験である一方、他大学は読解の設問形式そのものが違ったり、英作文の比重が変わったりします。同じ関西だからと同じ対策で臨むと足をすくわれます。




同じ旧帝大でも、名古屋大学は設計が異なります。比較して読むと京大の特徴がはっきりします。


関西の旧帝大どうしで比べるなら、大阪大学が好対照です。京大が「日本語力」で差がつくのに対し、阪大は和文英訳と自由英作文で「英語を書く量」がそのまま得点差になります。


英作文の添削は独学で最も伸ばしにくい領域です。AIを使った具体的な添削手順は次の記事にまとめています。


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まとめ
京都大学医学部医学科の英語は、120分・大問4題で300点。理科と同額の最大配点で、共通テスト全科目275点より英語1科目のほうが重い設計です。二次比率は約78%。2025年度の合格最低点は942.50点(1275点満点、73.9%)で、二次で7割台半ばを安定させる力が求められます。
やるべきことは3つに絞れます。第一に、和訳は英語を日本語に置き換える作業ではなく、意味をつかんでから日本語で書き直す作業だと理解すること。書いたら必ず声に出して確認します。第二に、2026年度に復活した内容説明は、主語・変化・理由の3点を拾ってから字数配分すること。字数指定は必ず守ります。第三に、自由英作文は設問の構成指示を自分の型より優先し、理由は1つ、具体例を厚くすること。
京大英語は、難解な英語をひねり出す試験ではありません。読めた内容を、読める日本語と破綻しない英語で正確に届ける試験です。伸ばすべきは英語力の天井ではなく、出力の精度です。そこに気づいた受験生から順に、英語が安定していきます。




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