「医学部英語は速読が必要」とよく言われます。しかしこの助言には数字がありません。どれくらい速く読めばいいのかが分からないまま、なんとなく速く読む練習をすることになります。必要な速度は志望校で決まります。当ブログで個別に調べた範囲では、福岡大学の長文が300から500語、東京医科大学が400語程度である一方、岩手医科大学と関西医科大学は1000語規模です。3倍以上の開きがあります。そして語数だけでも足りません。同じ900語でも、その1題に10分しか使えない大学と20分使える大学では、必要な速度が倍違うからです。本記事は、語数と時間から「1分あたり何語必要か」を出す方法を整理します。
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志望校の長文は何語か

当ブログで個別に調べた大学の長文語数です。
| 大学 | 長文の語数 |
|---|---|
| 関西医科大学 | 1000語超 |
| 岩手医科大学 | 1000語程度 |
| 東邦大学 | 900語 |
| 北里大学 | 900語 |
| 杏林大学 | 700〜1,000語 |
| 順天堂大学 | 750語 |
| 国際医療福祉大学 | 約700語 |
| 自治医科大学 | 700語前後 |
| 日本大学 | 600〜800語 |
| 近畿大学 | 約500語 |
| 東京医科大学 | 400語程度 |
| 福岡大学 | 300〜500語 |
獣医系では、酪農学園大学が700から1,100語、麻布大学が400から500語とされています。
最短の福岡大学(300語)と最長の関西医科大学(1000語超)で3倍以上の開きがあります。
Gou「速読の練習をしています」と言う生徒に「志望校の長文は何語」と聞くと、答えられないことがほとんどです。300語の大学を志望しているのに1000語で練習しても、本番の感覚とはずれます。まず数えてください。
語数・出題形式は改定されます。必ず志望校の最新の過去問で確認してください。
自分で数える方法
過去問に語数が書いてあることは稀です。概算で構いません。
- 1行の語数を数える(英文の中ほどの行を3行選び、平均を取る)
- 全体の行数を数える
- 1行の語数 × 行数
1行あたり10語で80行あれば約800語。この概算で十分です。3分で終わります。




語数だけでは足りない。時間と組み合わせる


同じ900語でも、その1題に10分しか使えない大学と20分使える大学では、必要な速度が倍違います。だから語数と時間をセットで見てください。
計算式
必要な速度(語/分)= 長文の語数 ÷ その大問に使える時間(分)
ここで出るのは、設問処理を含めた速度です。純粋に読むだけの速度はこれより速い必要があります。
実際に計算してみる
当ブログで調べた1題あたりの時間を使って計算します。
東京医科大学は60分で4題、1題15分。長文が400語程度なら、400 ÷ 15 で約27語/分。
近畿大学は60分で8題、1題7.5分。長文が約500語なら、500 ÷ 7.5 で約67語/分。
北里大学は70分で7題、1題10分。長文が900語なら、900 ÷ 10 で90語/分。
同じ「医学部英語」でも、必要な速度が3倍以上違います。




この計算の前提
数字を鵜呑みにしないでください。次の3点が前提です。
- 大問がすべて長文とは限りません。文法問題や整序問題が含まれる大学では、長文にもっと時間を回せます
- 設問の重さが違います。記述が多い大問は、読む速度が同じでも時間がかかります
- 語数は年度で変動します
だから出た数字は目安です。ただし目安があるのとないのでは、練習の設計がまったく違います。
速度の目安と現在地の測り方
一般的な目安
- 100語/分以上: 相当速い。難関大の長文でも余裕がある
- 80から100語/分: 医学部の長文に対応できる水準
- 60から80語/分: 標準的。語数が多い大学ではやや厳しい
- 60語/分未満: 語数の多い大学では時間が足りなくなる
これは読むだけの速度です。設問処理を含めると、体感はこれより遅くなります。
現在地を測る3手順
- 未読の英文を1本用意する(400語から800語程度)
- ストップウォッチで時間を計りながら読む
- 語数 ÷ 所要時間(分)で速度を出す
週1回、同じ手順で測ってください。速度が上がっているかを数字で確認できます。
記録するのは速度と、その日の英文の語数の2つだけで構いません。
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速度を上げる3つの手順
1. 返り読みを禁止する
1回目は分からない箇所があっても止まらず最後まで進みます。分からない語には印だけ付けて先へ。
読んでいる最中に辞書を引くのが、速度を潰す最大の原因です。読み終わってから回収してください。
これを守るだけで、多くの受験生は速度が2割から3割上がります。
2. 段落ごとに1行のメモを書く
各段落の要点を日本語で10文字から15文字。「たばこ規制の現状」「賛成側の根拠」のように短く。
一見すると時間の無駄に見えますが、設問に戻るときに本文を読み直す時間がゼロになるため、総時間は短くなります。
3. 語彙の穴を先に埋める
速度が上がらない原因の多くは、読解技術ではなく語彙です。1文に2語以上知らない語があると、速度は確実に落ちます。
読んでいて止まった語をノートに記録し、週末にまとめて覚えてください。1週間で30語ペースを維持すれば、1ヶ月で速度が変わります。




語数別の対策
300から500語(福岡大学、東京医科大学、近畿大学など)
語数が少ないぶん、1題あたりの設問数が多い傾向があります。速度より処理の効率が問われます。
- 設問を先に読んでから本文に入る
- 設問の該当箇所を探しながら読む
- 全文を丁寧に読まなくてよい設問を見分ける
短い長文は、精読より情報検索の技術が効きます。


700から900語(順天堂大学、国際医療福祉大学、自治医科大学、東邦大学、北里大学など)
このゾーンが最も多く、標準的な医学部の長文です。
- 段落ごとの1行メモを必ず書く
- 80語/分を目標に速度を測る
- 週3本、時間を計って読む
段落メモの有無が、設問処理の時間を大きく左右します。




1000語規模(関西医科大学、岩手医科大学、杏林大学の上限など)
読むだけで相当な時間がかかります。
- 90語/分以上を目標にする
- 最初の3分で全体の構成を把握する(各段落の最初の1文だけを拾い読み)
- そのうえで通読に入る
いきなり1文目から精読すると、後半で時間が尽きます。全体像を先に取るのが有効です。


スタディサプリ 大学受験講座
速度が上がらない原因の多くは語彙と構文です。読解の練習量を増やす前に、抜けている単元を講義で埋めるほうが速く効きます。
AIで速度を管理する
速度は感覚ではなく数字で管理してください。ここがAIの使いどころです。
速度を計算させる
「以下の英文を読むのに私は◯分かかりました。この英文の語数を数え、私の読解速度を1分あたりの語数で計算してください。そのうえで、80語/分という目標と比較して、どれくらい足りないかを教えてください」
必要な速度を逆算させる
「私の志望校の英語は◯分で大問◯題です。長文は約◯語です。設問処理を含めて、1分あたり何語で読む必要があるかを計算してください。そのうえで、その速度が現実的かどうかを一般的な目安(80から100語/分が医学部対応水準)と比較して評価してください」
志望校の語数に合わせた素材を作らせる
「医学・生命科学・社会科学のいずれかをテーマに、大学入試レベルの英語論説文を◯語程度で作ってください。専門用語には注釈を付けてください。そのあとに、内容一致問題4問と下線部の日本語説明1問を付けてください。解答は最後にまとめてください」
語数を志望校に合わせるのが要点です。300語の大学を志望しているのに1000語で練習しても、本番の感覚とずれます。
速度が上がらない原因を診断させる
「私は3週間、週3本のペースで英文を時間を計って読んでいますが、速度が◯語/分から変わりません。考えられる原因を、語彙不足、返り読みの癖、構文把握の弱さ、集中の持続の4つの観点から評価してください。そのうえで、次の2週間で試すべき具体的な方法を3つ提案してください。新しい教材の購入は提案しないでください」
最後の一文を必ず入れてください。指定しないとAIは教材を増やす提案をしてきます。
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浪人生で速度が頭打ちになっている場合、原因が語彙か構文か集中力かを自分で切り分けるのは難しい領域です。全寮制・完全個別のこの予備校が候補になります。
4週間の速度向上プラン
1週目: 現在地の測定
未読の英文を3本、時間を計って読みます。語数と所要時間から速度を出し、3本の平均を取ってください。
これが現在地です。同時に、志望校の語数と1題あたりの時間から必要な速度も計算します。この2つの差が、埋めるべき幅です。
2週目: 返り読みの禁止
週3本。1回目は絶対に止まらず最後まで読みます。分からない語には印だけ。
この週は速度が落ちるかもしれません。理解度が下がる感覚があるからです。それでも止まらないでください。3週目で戻ります。
3週目: 段落メモを追加
返り読みを禁止したまま、各段落に1行メモを書きます。
メモを書く時間が増えるぶん、通読の時間は伸びます。しかし設問処理が速くなるため、総時間は変わらないか短くなるはずです。ここを測ってください。
4週目: 志望校の語数で通す
志望校と同じ語数の英文を、同じ時間で読みます。
記録するのは次の3つです。
- 時間内に読み切れたか
- 段落メモを全段落に書けたか
- 印を付けた語が何語あったか
3つめが多い場合、速度の問題ではなく語彙の問題です。読解練習より単語に時間を寄せてください。


まとめ
「速読が必要」という助言に、数字を入れてください。
押さえるべきことは4つです。
第一に、長文の語数は志望校で3倍以上違うこと。当ブログで調べた範囲では、関西医科大学が1000語超、岩手医科大学が1000語程度、東邦大学と北里大学が900語、杏林大学が700から1,000語、順天堂大学が750語、国際医療福祉大学と自治医科大学が700語前後、日本大学が600から800語、近畿大学が約500語、東京医科大学が400語程度、福岡大学が300から500語でした。
第二に、語数だけでは足りないこと。必要な速度は「長文の語数 ÷ その大問に使える時間」で出ます。東京医科大学(400語・1題15分)なら約27語/分、近畿大学(500語・1題7.5分)なら約67語/分、北里大学(900語・1題10分)なら90語/分。同じ医学部英語でも3倍以上の差があります。
第三に、現在地を測ること。未読の英文を時間を計って読み、語数 ÷ 所要時間で速度を出す。週1回、同じ手順で。一般的な目安は、80から100語/分が医学部に対応できる水準です。
第四に、速度を上げる手順は3つだということ。返り読みを禁止する、段落ごとに1行メモを書く、語彙の穴を先に埋める。とくに1つめは、守るだけで2割から3割上がります。読んでいる最中に辞書を引くのが、速度を潰す最大の原因です。
なお計算した数字は目安です。大問がすべて長文とは限らず、設問の重さも違い、語数は年度で変動します。ただし目安があるのとないのでは、練習の設計がまったく違います。
語数を数えるのは概算で構いません。1行の語数×行数で3分。まずそこから始めてください。




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