「過去問は10年分やれ」と言われます。しかし医学部英語では、この助言が逆効果になる大学があります。出題形式が変わっているからです。東京医科大学は2025年度にアクセント問題が消滅して4題構成になったとされ、昭和医科大学は2020年度の形式変更でそれ以前の形式が廃止されたとされています。形式が変わった年より前の過去問は、同じ大学名でも別の試験です。そこで時間を使えば、出ない形式の練習をすることになります。本記事は、年数を決める前にやるべき判定と、1年分をどう使うかを整理します。
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「10年分」が通用しない大学がある

過去問演習の目安として、5年分、第一志望なら10年分程度とされることが多いようです。ただしこれは、出題形式が安定している大学の話です。
当ブログで調べた範囲と各予備校の公表情報では、次のような変更が確認できます。
| 大学 | 変更内容 |
|---|---|
| 東京医科大学 | 2025年度にアクセント問題が消滅し、4題構成になったとされる |
| 昭和医科大学 | 2020年度の形式変更で、それ以前の形式(会話文問題など)が廃止されたとされる |
| 東邦大学 | 2026年度の一般入試で、英語のみ配点を高くするスタイルに変更されたとされる |
| 関西医科大学 | 英語と数学の配点が100点から150点に引き上げられたとされる |
配点の変更は出題形式の変更とは別物ですが、受験生にとっては同じ意味を持ちます。英語の重みが変われば、過去問を解く順番も時間配分も変わるからです。
Gou「10年分やった」と報告してくれる受験生に年度の内訳を聞くと、半分が旧形式ということがあります。量は達成しているのに手応えが出ない典型です。年数は目的ではありません。
入試情報は毎年更新されます。ここに挙げた変更も、必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。




遡れる年数を判定する3ステップ


年数を決めるのは、最初の1年分を解いたあとです。順番が逆になっている受験生が多くいます。
ステップ1: 最新3年分の形式を並べる
まず解かずに、最新3年分の問題を眺めて次の4項目を書き出してください。
- 大問数
- 各大問の設問形式(選択・記述・和訳・英作文)
- 試験時間
- 配点(公表されていれば)
30分で終わります。3年分が同じなら、形式は安定していると判断できます。
ステップ2: 変わった年度を探す
3年分が同じでも、その前で変わっていることがあります。4年前、5年前と遡って同じ4項目を見てください。
大問が1つ増減している、記述が選択に変わっている、試験時間が10分違う。どれか1つでも見つかったら、そこが境目です。
ステップ3: 境目より前は扱いを変える
境目が見つかったら、それより前の年度は通し演習には使いません。時間を計って解いても、本番と条件が違うためです。
ただし捨てる必要はありません。長文の素材としては使えます。設問を無視して読解の練習に回すか、出題テーマの傾向を数えるのに使ってください。



境目より前を「使ってはいけない」と考える必要はありません。通し演習と素材演習を分ければいいだけです。判定に30分かけるだけで、残りの数十時間の質が変わります。
入手経路によって手に入る年数が違う
過去問は、どこから手に入れるかで年数も情報量も変わります。
赤本(教学社)
収録年数は大学によって差があり、2年から10年程度とされています。難関大学ほど収録年数が多く、それ以外は3年程度が中心という傾向があるようです。
つまり「赤本を1冊やり切る」と決めても、大学によって演習量が3倍以上違うことになります。志望校の赤本が3年分しか入っていないなら、それだけでは足りません。
青本(駿台文庫)
解説が詳しいことで知られますが、難関大学中心のシリーズです。医学部単科大学は対象になっていないことが多く、志望校の青本が存在しない場合があります。
まず志望校の刊行があるかを確認してから、購入計画を立ててください。
大学の公式サイト
国公立大学は、公式サイトで入試問題を公開している大学が多くあります。赤本より遡れる場合もあります。
ただし公開の仕方は大学によって異なり、総合型選抜や学校推薦型選抜は非公表の大学も多いようです。福島県立医科大学のように、閲覧に事前申し込みが必要な大学もあるとされています。
過去問データベース
東進の過去問データベースでは、共通テストや主な国公立大学、難関私立大学の問題と解答が無料で公開されています。パスナビも同様の一覧を持っています。
解説の詳しさは市販の過去問集に劣りますが、年数を確保する手段としては有効です。
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いつから始めるか
開始時期については助言が割れています。夏の終わりからという意見もあれば、共通テスト後からという意見もあるようです。
割れる理由は、「過去問を解く」という言葉が2つの別々の作業を指しているからです。
形式の確認は早いほどよい
前述の3ステップは、いつやっても構いません。むしろ早いほど得をします。
自由英作文が出ないと分かれば、その練習に時間を使わずに済みます。リスニングの配点が100点だと分かれば、優先順位が変わります。実力とは無関係な作業なので、9月でも6月でも判定できます。
通し演習は実力がついてから
時間を計って全問解く演習は、インプットが一通り終わってからです。
語彙も構文も足りない段階で解けば、点数が低く出るだけで情報が得られません。しかも1年分を消費してしまいます。過去問は有限なので、これは損失です。




1年分の使い方
通し演習に入ったら、1年分にかける時間は解答時間の2倍から2.5倍を見てください。90分の試験なら、復習を含めて3時間から4時間です。
解く
必ず時間を計ります。途中で辞書を引かない、途中で答えを見ない。この2つを守るだけで、本番との差が縮まります。
時間内に終わらなかった問題には印を付けて、そのあと時間無制限で解いてください。時間があれば解けたのか、時間があっても解けなかったのか。この区別が次の学習を決めます。
記録する
採点したあと、間違えた設問を理由で分類します。点数だけ記録しても次につながりません。
- 語彙を知らなかった
- 構文が取れなかった
- 設問の条件を読み違えた
- 時間が足りなかった
- 書き方(字数・答え方)で減点された
5分類で十分です。分類の内訳が、次の1週間にやることを決めます。語彙が半分なら単語帳に戻る。時間が半分なら速度の練習に回す。
見直す
間違えた設問だけでなく、迷った末に正解した設問も見てください。次に同じ形で出たら間違える可能性が高い箇所です。
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過去問で「構文が取れなかった」が多く出た場合、独学で戻る範囲を決めるのは難しいものです。講義単位で該当分野だけ拾えるので、復習の戻り先として使いやすい教材です。
併願校への配分
医学部受験では併願校が多くなります。全校を同じ年数だけ解く時間はありません。
配分の考え方は3つです。
第一に、第一志望は現行形式の全年度。境目より後がすべて対象になります。
第二に、形式が第一志望と似ている併願校は年数を減らします。長文中心で記述が少ないという条件が同じなら、演習効果は重なるためです。2年分で足ります。
第三に、形式が大きく違う併願校は年数を確保します。第一志望が選択中心で併願校に和訳と自由英作文があるなら、そこは別の練習が要ります。3年分は見ておいてください。
判断の基準は「形式が違うか」であって、偏差値の上下ではありません。




AIで過去問の分析を速くする
判定と分類は手作業だと時間がかかります。ここはAIに任せられる部分があります。
形式の変化を表にさせる
「以下は同じ大学の英語の入試問題について、私が年度ごとに書き出した大問数・設問形式・試験時間のメモです。これを表にまとめ、年度間で変化した項目があれば指摘してください。変化した年度を境目として明示してください」
自分でメモを取る作業は残りますが、比較と抽出は任せられます。
誤答を分類させる
「以下は私が過去問で間違えた設問と、私の解答、正解です。間違いの原因を(1)語彙(2)構文(3)設問条件の読み違い(4)時間不足(5)答案の書き方、の5つに分類してください。分類の内訳から、次の1週間で優先すべき学習を1つだけ挙げてください」
優先を1つに絞らせるのが要点です。複数挙げさせると結局全部やることになります。
出題テーマを数えさせる
「以下は志望校の英語長文について、私が年度ごとに記録したテーマの一覧です。分野別に分類し、出題回数の多い順に並べてください。そのうえで、まだ出ていない分野で今後出る可能性が高いものを3つ挙げてください」
境目より前の年度は、この用途で使えます。設問が別形式でも、テーマの傾向は情報として残ります。


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浪人生で併願校が多い場合、過去問の配分は独学だと第一志望に偏りがちです。全寮制・完全個別カリキュラムで年間の演習計画から組み立てたい方の選択肢になります。
まとめ
過去問の年数は、目標ではなく結果です。
押さえるべきことは4つです。
第一に、年数を決める前に形式の境目を探すこと。東京医科大学は2025年度にアクセント問題が消滅して4題構成になったとされ、昭和医科大学は2020年度の形式変更でそれ以前の形式が廃止されたとされています。配点の変更もあり、東邦大学は2026年度の一般入試で英語のみ配点を高くするスタイルに、関西医科大学は英語と数学が100点から150点に引き上げられたとされています。境目より前の年度は、通し演習には向きません。
第二に、入手経路で年数が変わること。赤本の収録年数は大学によって2年から10年程度と幅があり、青本は難関大学中心で医学部単科大学は対象外のことが多いようです。国公立は公式サイトでの公開があり、東進の過去問データベースやパスナビも使えます。
第三に、開始時期は作業によって違うこと。形式の確認は実力と無関係なので早いほど得をします。通し演習はインプットが終わってからです。過去問は有限なので、早く消費するのは損失になります。
第四に、記録するのは点数ではなく間違いの理由だということ。語彙、構文、設問条件の読み違い、時間不足、答案の書き方。この5分類の内訳が、次の1週間にやることを決めます。
まずは志望校の最新3年分を開いて、大問数と設問形式と試験時間を書き出してください。30分で、解くべき年数が決まります。
入試情報は毎年更新されます。本記事に挙げた変更点も、必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。




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