国公立医学部を志望しながら私立を併願する受験生は多いのですが、英語の時間設計がまったく違うことに気づいている人は多くありません。当ブログで個別に調べた国公立23校から1題あたりの時間を計算すると、最短が神戸大学の20.0分、最長が筑波大学の40.0分でした。一方、私立医学部は7.5分から20.0分です。つまり両者は20.0分という1点でしか接していません。国公立の最短が私立の最長と同じ。ほぼ重ならないのです。1題30分の感覚で私立を解けば大問2つで時間が尽き、逆に私立中心の受験生が国公立を受けると時間を持て余します。本記事は、23校の実データから国公立の時間設計を整理し、併願時の対策まで具体化します。
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国公立23校の1題あたり時間

試験時間を大問数で割った数字です。長い順に並べました。
| 大学 | 試験時間 | 大問数 | 1題あたり |
|---|---|---|---|
| 筑波大学 | 120分 | 3題 | 40.0分 |
| 京都大学 | 120分 | 4題 | 30.0分 |
| 広島大学 | 120分 | 4題 | 30.0分 |
| 京都府立医科大学 | 120分 | 4題 | 30.0分 |
| 高知大学 | 120分 | 4題 | 30.0分 |
| 新潟大学 | 90分 | 3題 | 30.0分 |
| 滋賀医科大学 | 90分 | 3題 | 30.0分 |
| 横浜市立大学 | 90分 | 3題 | 30.0分 |
| 香川大学 | 90分 | 3題 | 30.0分 |
| 千葉大学 | 80分 | 3題 | 26.7分 |
| 三重大学 | 80分 | 3題 | 26.7分 |
| 名古屋大学 | 105分 | 4題 | 26.3分 |
| 東北大学 | 100分 | 4題 | 25.0分 |
| 東京大学 | 120分 | 5題 | 24.0分 |
| 九州大学 | 120分 | 5題 | 24.0分 |
| 島根大学 | 120分 | 5題 | 24.0分 |
| 徳島大学 | 70分 | 3題 | 23.3分 |
| 大阪大学 | 90分 | 4題 | 22.5分 |
| 北海道大学 | 90分 | 4題 | 22.5分 |
| 信州大学 | 90分 | 4題 | 22.5分 |
| 鳥取大学 | 90分 | 4題 | 22.5分 |
| 神戸大学 | 80分 | 4題 | 20.0分 |
科目名が「英語」でない大学は別枠
愛媛大学は120分で大問2題ですが、科目名は「総合問題」です。英文を読んで日本語で答える形式のため、上の一覧とは別に扱っています。
群馬大学のように、二次に英語という科目自体がない大学もあります。まず志望校に英語という科目があるかを確認してください。この確認を飛ばすと、出題されない形式の練習に時間を使うことになります。
試験時間・大問数・出題形式は改定されます。必ず志望校の最新の過去問で確認してください。
私立とほぼ重ならないという事実
ここが本記事で最も伝えたい点です。
| 区分 | 1題あたりの範囲 |
|---|---|
| 国公立(23校) | 20.0分から40.0分 |
| 私立(8校) | 7.5分から20.0分 |
接点は20.0分の1点だけです。国公立で最も短い神戸大学(80分4題)と、私立で最も長い東京慈恵会医科大学(60分3題)が、ちょうど同じ20.0分になります。
Gou国公立志望の生徒が1月に私立を受けて「時間が全然足りなかった」と言ってくることがあります。実力の問題ではありません。1題30分で読む癖がついた状態で、1題8分の試験を受けたからです。この差を知らないまま本番を迎えるのが一番もったいない。
長さの違いは難易度ではなく形式の違い
国公立の二次は記述中心です。和訳、内容説明、要約、英作文。書く量が多いため、1題に20分以上必要になります。
私立は多くがマーク式中心で、短文の空所補充や文法問題が独立した大問として入ります。だから大問数が増え、1題あたりが短くなります。
つまり国公立が難しくて私立が易しい、という話ではありません。要求される能力が違うのです。
併願で実際に起きること
国公立志望者が私立を併願すると、慣れた速度では間に合いません。1題30分の感覚で近畿大学(1題7.5分)を解けば、大問2つで時間が尽きます。
逆に私立中心の受験生が国公立を受けると、時間が余ります。そして余った時間の使い方を決めていないため、記述の精度を上げられずに終わります。


1題30分以上の大学の対策


該当例は筑波大学(40.0分)、京都大学、広島大学、京都府立医科大学、高知大学、新潟大学、滋賀医科大学、横浜市立大学、香川大学(いずれも30.0分)です。
時間は足りる。だから精度がすべて
1題30分あれば、英文を2回読む余裕があります。にもかかわらず失点するのは、読み間違いと書き方の問題です。
速く読む必要はありません。正確に読み、正確に書くことに時間を使ってください。
30分の内訳を決めておく
- 最初の3分: 設問を先に読み、何が問われるかを把握する
- 3分から13分: 本文を通読する。返り読みはせず、段落ごとに日本語1行のメモを書く
- 13分から25分: 設問を処理する。記述は下書きせず直接書く
- 25分から30分: 見直し。字数、指示語、誤字の3点だけ
下書きをしない、というのが重要です。30分あっても、下書きしてから清書すると時間が足りません。頭の中で1文を組み立ててから書き始めてください。
見直しの3点を固定する
余った時間で内容を練り直すと、たいてい改悪になります。見るのは次の3つだけです。
- 字数指定を守っているか(「以内」の超過は減点)
- 指示語(それ、これ、彼ら)を具体名に置き換えたか
- 誤字とスペルミス
この3つを順に見る、と決めておけば迷いません。
筑波大学の40分をどう使うか
1題40分は、今回調べた中で最も1題が重い設計です。これは記述量が相当多いことを意味します。
40分の場合は、上の配分を単純に1.3倍へ伸ばすのではなく、本文の通読を2回に増やしてください。1回目は全体像の把握、2回目は設問に関わる箇所の精読。この2段階が使えるのが40分の利点です。




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1題20分から25分の大学の対策
該当例は神戸大学(20.0分)、大阪大学、北海道大学、信州大学、鳥取大学(22.5分)、徳島大学(23.3分)、東京大学、九州大学、島根大学(24.0分)、東北大学(25.0分)です。
記述しながら速度も要る
このゾーンは、記述式でありながら時間に余裕がありません。国公立の中では速度が求められる部類です。
20分の内訳
- 最初の2分: 設問を確認する
- 2分から10分: 本文を通読。段落メモは書くが、1行を短くする
- 10分から18分: 設問処理。記述は即書き
- 18分から20分: 字数と誤字だけ確認
30分の配分と比べると、見直しが5分から2分に減ります。ここで内容を練り直す余裕はありません。
大問数が多い大学の注意点
東京大学、九州大学、島根大学は120分で5題です。大問数が多く、形式も多様になりがちで、長文、和訳、英作文、要約が別々の大問になっているパターンがあります。
この場合、得意な形式から先に処理する戦略が有効です。ただし解答用紙の順番と解く順番がずれるため、記入欄の間違いに注意してください。




併願する場合の演習設計
週を分ける
国公立と私立を併願するなら、演習日を分けてください。
- 週の前半: 国公立型(1題20分以上、記述中心)
- 週の後半: 私立型(1題10分前後、マーク中心)
同じ日に混ぜると、どちらの感覚も定着しません。精読の癖がついた状態で高速処理型に臨めば時間が足りず、逆なら読み飛ばして誤答します。
切り替えの合図を1枚の紙にする
本番では、前日に受けた大学の感覚が残ります。切り替えのために、試験直前に見る紙を用意してください。
国公立用には「1題◯分。通読2回。見直しは字数・指示語・誤字」。
私立用には「1題◯分。30秒で糸口が見えなければ次へ」。
この紙を試験開始前に読むだけで、頭が切り替わります。
共通して効く土台
形式が違っても、語彙と構文把握はどちらでも土台になります。
読めない単語があれば速度も精度も落ちますし、SVOCが取れなければ速く読んでも誤読します。併願で形式がばらけるほど、この2つに時間を寄せる価値が上がります。


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時間設計を整える前に、語彙と構文の土台が要ります。抜けがある状態で配分だけ練習しても、通読の速度が上がりません。
志望校の時間設計を決める手順
過去問を使って、次の順で進めてください。
- 二次に「英語」という科目があるかを確認する
- 試験時間と大問数から1題あたりの平均時間を計算する
- ゾーンを判定する(30分以上/20分から25分)
- 過去問を1年分、大問ごとに時間を測って解く
- 併願校の1題あたり時間も計算し、差を出す
- 差が10分以上あるなら、演習日を分ける
5番目を飛ばさないでください。国公立と私立の両方を受けるなら、その差が本番で切り替えなければならない幅です。
記録するのは得点ではなく次の3つです。
- 通読が予定時間内に終わったか
- 記述を下書きせずに書けたか
- 見直しの3点(字数・指示語・誤字)を実行できたか
この3つが安定してから、得点を気にしてください。


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よくある4つの誤解
「国公立の英語は難しい」
長さの違いは難易度ではなく形式の違いです。国公立は記述中心なので1題に時間がかかり、私立はマーク中心で大問数が多いから1題が短い。どちらが難しいという話ではありません。
「時間が長い大学は余裕がある」
1題30分でも、記述量が多ければ余裕はありません。筑波大学の40分は、記述量が相当多いことの裏返しです。時間の長さは、そのまま作業量の多さを意味することがあります。
「国公立と私立は同じ対策でいい」
1題あたりの時間が20.0分でしか接していません。国公立志望者が私立を受けると時間が足りず、私立中心の受験生が国公立を受けると時間を持て余します。演習日を分けてください。
「時間が余ったら見直しで内容を練り直す」
たいてい改悪になります。見るのは字数、指示語、誤字の3つだけと決めておいてください。
まとめ
国公立医学部の英語は、私立とはまったく別の時間設計です。
押さえるべきことは4つです。
第一に、国公立の1題あたりは20.0分から40.0分だということ。当ブログで調べた23校では、筑波大学が120分3題で40.0分、京都大学・広島大学・京都府立医科大学・高知大学が120分4題で30.0分、新潟大学・滋賀医科大学・横浜市立大学・香川大学が90分3題で30.0分、東京大学・九州大学・島根大学が120分5題で24.0分、神戸大学が80分4題で20.0分でした。
第二に、私立とほぼ重ならないこと。私立は7.5分から20.0分で、接点は20.0分の1点だけです。国公立で最も短い神戸大学と、私立で最も長い東京慈恵会医科大学が同じ20.0分になります。
第三に、長さの違いは難易度ではなく形式の違いだということ。国公立は記述中心で書く量が多いから1題に時間がかかり、私立はマーク中心で大問数が多いから1題が短い。どちらが難しいという話ではありません。
第四に、併願するなら演習日を分けること。1題30分の感覚で1題8分の試験を受ければ、大問2つで時間が尽きます。週の前半を国公立型、後半を私立型のように固定し、試験直前に見る切り替え用の紙を1枚用意してください。
なお愛媛大学は科目名が「総合問題」、群馬大学は二次に英語という科目自体がありません。まず志望校に英語があるかを確認するところから始めてください。
試験時間・大問数・出題形式はいずれも改定されます。本記事の数値も、必ず志望校の公式募集要項と最新の過去問で確認してください。
試験時間を大問数で割るだけで1分です。そして併願校との差を出してください。その差が、本番で切り替えなければならない幅になります。




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