和文英訳で手が止まるとき、原因は英語力ではないことがほとんどです。日本語が英語にできない形のまま残っているからです。京都大学の和文英訳は、随筆的な人生論に慣用句を混ぜてくるのが定番だとされています。「一朝一夕にはいかない」をそのまま英語にしようとすれば、誰でも止まります。必要なのは、英語を書く前に日本語を「小学生にも分かる日本語」へ書き直す工程です。しかもこの設問、大阪公立大学のように自由英作文がなく和文英訳一本の大学もあれば、千葉大学のようにそもそも出ない大学もあります。本記事は、和文英訳を出す大学を4グループに分類したうえで、書き直しの手順を整理します。
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和文英訳は4つのグループに分かれる

当ブログで個別に調べた大学を、和文英訳の扱いで分類すると4つになります。
| グループ | 大学と扱い |
|---|---|
| 独立した大問 | 京都大学(大問Ⅲ)、大阪大学、東京大学(第2問B)、岡山大学、大阪公立大学、大阪医科薬科大学、滋賀医科大学、島根大学、鳥取大学、新潟大学、宮崎大学、和歌山県立医科大学、兵庫医科大学、藤田医科大学 |
| 長文・会話文に埋め込み | 三重大学、鹿児島大学、名古屋大学、香川大学 |
| 消えた・変わった | 福島県立医科大学(2018年度に独立大問が消滅)、九州大学(問5が図表英作文へ)、東京慈恵会医科大学(2026年度に英訳が消滅) |
| 出ない | 千葉大学、信州大学、愛知医科大学 |
Gou「英作文」とひとくくりにして対策すると、ここで事故が起きます。自由英作文は書く内容を自分で選べますが、和文英訳は選べません。逃げ場がないぶん、準備の仕方がまったく違います。
自由英作文がなく和文英訳だけの大学がある
大阪公立大学の医学部は100分・大問3題で、長文2題に和文英訳という構成です。自由英作文が出ず、和文英訳一本というのが最大の特徴です。2025年度からは英語が200点から300点に増点されたとされています。
この場合、自由英作文の型を暗記しても点になりません。時間はすべて和文英訳に投下すべきです。


出ない大学もはっきりある
千葉大学の英語は全学部共通で、一般的な自由英作文も和文英訳も出ません。代わりに問われるのが英文の書き換えと、指定語を使った部分英作文です。
信州大学の医学科も、二次英語に和文英訳も自由英作文も出ません。大問4題はすべて長文読解です。愛知医科大学は全問マークシートで、和文英訳も自由英作文もありません。
志望校がここなら、和文英訳の練習に割く時間はゼロで構いません。




和文英訳と自由英作文は別の技術
同じ「英語を書く設問」でも、この2つは要求される力が違います。
自由英作文には逃げ場がある
自由英作文では、書く内容を自分で決められます。難しい表現が思いつかなければ、主張を変えてしまえばいい。自分が確実に書ける語彙と構文の範囲内で、内容のほうを寄せられます。
和文英訳には逃げ場がない
和文英訳では、書く内容が与えられます。「拍車をかける」と書いてあれば、その意味を英語にするしかありません。内容を選べないぶん、語彙が出てこないときの処理力が問われます。
だからこそ、上位語への置き換え、否定での言い換え、関係詞で説明に開く、といった逃げ道を練習しておく必要があります。
併存する大学は時間配分の設計が要る
滋賀医科大学は和文英訳と自由英作文の両方が課されるとされています。岡山大学は120分400点で長文読解、和文英訳、自由英作文の記述型です。
両方出る大学では、どちらに何分かけるかを先に決めてください。鳥取大学の対策では、和文英訳と自由英作文で35分を先に確保する設計を勧めています。読解から始めて時間を使い切ると、配点の大きい記述が白紙になります。




和文和訳ができれば8割は解決する


和文英訳の核心は、英語を書き始める前の工程にあります。
京都大学の和文英訳は、2026年度も長文読解2題、和文英訳、自由英作文という4題構成で出題されました。テーマは「進むべき道の選択」で、過去10年にわたり随筆的な人生論に慣用句を混ぜる傾向が一貫しているとされています。日本語特有の情緒的な表現を、論理的な英語の構造へ変換する作業が求められます。
和歌山県立医科大学も、こなれた日本語の和文英訳が特徴です。
手順1 主語を人間に戻す
日本語は主語を省きますが、英語は省けません。まず「誰が」を補います。
「努力が報われるとは限らない」なら、「人は努力しても、いつも望む結果を得るわけではない」と書き直します。ここまで来れば、あとは中学英文法で書けます。
主語が決まらないときは、we、people、it の3つで大半は処理できます。
手順2 慣用表現を意味に開く
慣用句、四字熟語、比喩は、意味だけを取り出します。かっこよさは捨ててください。
「一朝一夕にはいかない」は「短い時間では達成できない」。「拍車をかける」は「加速させる、悪化させる」。「腑に落ちない」は「完全には納得できない」。
この置き換えができれば、cannot be achieved in a short time で通ります。overnight という気の利いた語を知らなくても減点はされません。
手順3 一文を短く割る
日本語の一文が長いときは、2文か3文に割ります。原文が1文でも、英語を1文にする必要はありません。
長い1文を無理につなぐと、関係詞と分詞が絡んで文法ミスが増えます。短い2文のほうが減点は少なくなります。




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減点される6か所
和文英訳の採点は、全体の印象ではなく要素ごとに行われます。落とすのは、たいてい次の6つのどれかです。
1. 主語の不一致
日本語で主語を補ったあと、途中で主語が変わってしまう答案が多くあります。1文の中で主語は動かさないでください。
2. 時制の飛び
日本語は時制が曖昧です。「〜と言われている」は現在、「〜と言われていた」は過去。原文の時間軸を決めてから書き始めます。
3. 可算と不可算
information、advice、research、knowledge は不可算です。an information、researches と書くと引かれます。
4. 冠詞の抜け
初出は a、既出は the、総称なら複数形で無冠詞。迷ったら、複数形にして無冠詞にするのが安全です。
5. 直訳しすぎ
「彼の顔が曇った」を His face became cloudy と書くと通じません。He looked sad で十分です。
入試で評価されるのは、うまい英語ではなく減点されない英語です。
6. 空欄
分からない語があっても、白紙にしないでください。和文英訳は要素ごとに部分点が入ります。主語と動詞だけでも合っていれば点が残ります。



語彙が出てこないときの逃げ道を3つ用意してください。上位語に置き換える、反対語の否定で言う、関係詞で説明に開く。「介護者」が出てこないなら a person who takes care of elderly people で構いません。長くても減点はされません。
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和文英訳の減点の多くは、冠詞と可算不可算と時制です。ここで毎回止まるなら、該当分野の講義だけを拾って戻るのが早い方法です。単元単位で視聴できる教材は、この戻り先として使いやすくなります。
長文に埋め込まれる型は対策が別
独立した大問ではなく、読解の中に英訳が混ざる大学があります。この型は見落とされがちです。
三重大学は、読解問題の中に和文英訳と語句整序というライティング要素が組み込まれているのが特徴です。鹿児島大学では、会話文の一部を英訳させる設問が出ます。
名古屋大学の大問4は30から50語程度と短めですが、その中に意見提示や説明、和文英訳的な要素まで複数の形式が混ざることがあるとされています。
埋め込み型で必要なのは切り替えの速さ
独立大問なら、腰を据えて日本語を分解する時間があります。埋め込み型にはそれがありません。読解のリズムのまま英訳に入り、また読解に戻る必要があります。
だから練習では、長文を読みながら途中で英訳を書く形式に慣れてください。英訳だけを50題まとめて解く練習では、この切り替えは身につきません。
会話文の英訳は「話し言葉」で書く
鹿児島大学のように会話文の一部を英訳させる場合、硬い書き言葉で書くと不自然になります。
会話としての自然さも採点対象になります。I would like to は Can I に、It is necessary that は You should に。短く、口語的にしてください。




出題形式は変わる
和文英訳は、この10年で消えたり形を変えたりしている設問でもあります。
福島県立医科大学では、2017年度まで独立した大問として和文英訳が出題されていましたが、2018年度に姿を消しました。代わりに第3問が全問英語で解答する形式となり、100語程度の自由英作文が加わったとされています。
九州大学は、問5が和文英訳から図表を英語で読み取って説明する新傾向へ変化したとされています。東京慈恵会医科大学も、2026年度に伝統的に出題されてきた英訳問題が姿を消したとされています。
3年より古い情報で準備しない
「あの大学は和文英訳が出る」という情報は、数年で古くなります。参考書や体験記の情報をそのまま信じないでください。
確認は5分で終わります。過去問を1年分開き、独立した大問として和文英訳があるか、なければ設問の中に混ざっていないか、日本語の分量は何文か、随筆的か説明的か、自由英作文と併存しているか。この5点だけ見ればいいのです。




AIで和文英訳を添削させる
和文英訳は、独学で最も添削が得にくい設問のひとつです。自分の英語が自然かどうかは、自分では判定できません。
和文和訳だけをさせる
「以下の日本語を、英訳しやすい平易な日本語に書き直してください。英語には訳さないでください。慣用表現や比喩は意味だけを残し、主語を明示し、長い一文は2文に割ってください」
英訳までさせないのが要点です。英語を出させると、自分の作業がなくなります。
減点箇所を6観点で出させる
「以下は日本語の原文と、私が書いた英訳です。減点される可能性がある箇所を、(1)主語の一貫性(2)時制(3)可算不可算(4)冠詞(5)直訳しすぎ(6)語法、の6点から指摘してください。模範解答は最後に1つだけ示してください」
観点を指定しないと「よく書けています」で終わります。
2通りの訳を比較させる
「以下の日本語について、私は2通りの英訳を書きました。それぞれの減点リスクを比較し、入試でどちらを提出すべきかを理由とともに判定してください。第3の訳は示さないでください」
入試ではうまい英語より減点されない英語が勝ちます。この判断ができると点が安定します。
志望校の形式で問題を作らせる
「大学入試の和文英訳問題を3題作ってください。条件は、随筆的な文章から抜き出した2文程度で、慣用表現を1つずつ含むこと、そして直訳できない日本語を含むことです」
京都大学のように慣用句が定番の大学なら、この形式で演習量を稼げます。


京都医塾 高卒生プログラム
和文英訳はAIで練習量を稼げますが、記述の比重が高い国公立が第一志望なら、人の目で答案を見てもらう機会にも価値があります。全寮制・完全個別カリキュラムの選択肢です。
まとめ
和文英訳は、自由英作文の対策では埋まりません。
押さえるべきことは4つです。
第一に、志望校がどのグループかを確認すること。京都大学は大問Ⅲ、東京大学は第2問B、大阪大学と岡山大学は記述4題の一角として和文英訳を課します。大阪公立大学は自由英作文がなく和文英訳一本です。一方、千葉大学は一般的な自由英作文も和文英訳も出ず、信州大学と愛知医科大学にも出ません。準備量がゼロか最大かに分かれます。
第二に、和文英訳と自由英作文は別の技術であること。自由英作文は書く内容を選べますが、和文英訳は選べません。逃げ場がないぶん、語彙が出てこないときの処理力が要ります。
第三に、英語を書く前に日本語を書き直すこと。主語を人間に戻す、慣用表現を意味に開く、一文を短く割る。この3手順で大半は解決します。京都大学の和文英訳が随筆的な人生論と慣用句を定番にしているのは、この力を測るためです。
第四に、形式は変わること。福島県立医科大学では2018年度に独立大問が消え、九州大学の問5は図表英作文へ変わったとされています。3年より古い情報で準備しないでください。
まずは志望校の過去問を1年分開いて、和文英訳があるかどうかを5分で確認してください。そこで練習量が決まります。
入試情報は毎年更新されます。本記事の分類も、必ず志望校の最新の募集要項と過去問で確認してください。




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