「東大英語は総合力の試験だから、全部の力をまんべんなく上げるしかない」。理三志望の受験生からよく聞く言葉です。しかしこの理解では対策が終わりません。東大英語で崩れる人は、英語力が足りなかったから落ちるのではありません。放送が始まった瞬間に予定が壊れて落ちます。試験時間120分のうち、リスニングの放送が約30分。しかも放送開始は開始約45分後に固定されていて、自分では動かせません。残る実質90分で、第5問とリスニングを除いても約2500語の英文を処理します。本記事は、東大英語を「英語力の試験」ではなく「時間設計の試験」として組み直し、AIを使って要約と英作文を短期間で仕上げる方法を解説します。
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東京大学 理科三類 英語の基本データ【2026年版】

まず数字で全体像を押さえます。東京大学の前期日程は、共通テストの素点1000点を110点に圧縮し、二次試験440点と合わせた550点満点で合否が決まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語の試験時間 | 120分(うちリスニング放送が約30分) |
| 大問数 | 5題(要約・文補充/英作文2種/リスニング/正誤・和訳/長文) |
| 二次 英語の配点 | 120点 |
| 二次の内訳 | 英語120点・数学120点・理科120点・国語80点=440点、加えて面接 |
| 共通テスト | 素点1000点を110点に圧縮 |
| 二次比率 | 80%(440点/550点) |
| 面接 | 前期3日目に実施。受験生1人に面接官3人、約10分 |
| 問題の性質 | 全科類共通問題。理科三類専用の出題はなし |
注目すべきは二次比率80%という数字です。共通テストは110点にまで圧縮されます。仮に共通テストで9割(900点)を取っても、8割(800点)の受験生との差は圧縮後で11点しかありません。この11点は、二次では英語の記述1問分程度です。
一方で2025年度入試の理科三類は、第1段階選抜(足切り)が770点(1000点満点、77.0%)、合格者の共通テスト平均が901.43点でした。二次総合では合格最低点368.67点、平均395.27点、最高473.06点(いずれも550点満点)です。最低点は67.0%にあたります。
ここから逆算すると、英語の役割がはっきりします。理三の合格者は数学と理科で稼ぐ構造なので、英語120点で満点を狙う必要はありません。8割前後、つまり96点あたりを安定させ、崩れないことが英語の仕事です。
面接は点数化されませんが、合否判定に考慮されるとされています。なお配点や科目は年度により改定されるため、募集人員を含め、出願前に必ず東京大学の公式募集要項で確認してください。
東大英語が「英語力の試験」ではなく「時間設計の試験」である3つの理由
理由1: 放送開始時刻が固定されていて自分では動かせない
リスニングは第3問ですが、解く順番を自由に決められる他の大問とは性質が違います。放送は試験開始から約45分後に始まり、約30分続きます。この時刻は受験生の進行状況とは無関係です。
つまり東大英語は、前半45分と後半75分という2つのブロックに強制的に分割される試験です。前半に何を置くかを事前に決めていない受験生は、放送が始まった瞬間に「まだ第1問が終わっていない」という状態で残り時間の再計算を始めます。この数十秒のパニックが、リスニングの冒頭数問を丸ごと持っていきます。
配点は大学が公表していませんが、15問構成で1問2点の30点と想定されるのが一般的です。英語120点の4分の1に相当する規模を、最も不安定な精神状態で受けることになります。
理由2: 実質90分で処理する英文量が多い
2026年度の各大問の分量を見ると、第1問Aの要約が約330語、第1問Bの文補充・語句整序が約900語弱、第4問Aの正誤問題が約860語、第4問Bの和訳が約410語です。これだけで約2500語。ここに第5問の長文とリスニングが加わります。
さらに2026年度は、第4問Aが前年から約200語増、第4問Bが約70語増、第1問Aが約30語増と、全体的に英文総量が増加しました。難易度も難化し、特に第1問Aと第5問が重くなっています。第5問の素材は小説(Amy Hempel)でした。
放送の30分を差し引いた実質90分でこの量です。1つの大問に「じっくり取り組む」余裕は構造的に存在しません。
理由3: 日本語で書く問題と英語で書く問題が混在している
第1問Aは70から80字の日本語要約、第4問Bは下線部和訳。一方で第2問Aは60から80語の自由英作文、第2問Bは和文英訳です。同じ試験の中で、日本語の記述力と英語の記述力を交互に切り替えて使わされます。
2026年度の第1問Aでは書き出しの指定が追加され、第2問Bでは文脈を考慮した英語表現が求められる新しい形式に変わりました。形式は毎年少しずつ動きます。だからこそ、形式を追うより「どの順番で何分使うか」という設計を固めるほうが安定します。
Gou理三志望の受験生を見ていて一番もったいないのが、英語で満点を狙って時間を使い切るケースです。英語120点は数学120点・理科120点と同額ですが、理三の合格者が差をつけているのは理数です。英語は「稼ぐ科目」ではなく「崩さない科目」だと割り切ったほうが、総合点は上がります。
大問別攻略法(要約/英作文/リスニング/和訳/長文)
第1問A 要約は「圧縮」ではなく「骨組みの再構成」
約330語の英文を70から80字の日本語にまとめます。2026年度は書き出しの指定が加わりました。指定がある年は指定に従うのが最優先です。
要約で失敗する人は、本文を短く書き写そうとします。そうではなく、書く前に3つだけ拾ってください。筆者の主張、対比または転換(しかし、一方で、実は)、そして帰結です。転換の箇所が要約の核になります。
70から80字なら、主張25字・転換30字・帰結20字が目安です。具体例は原則すべて捨てます。具体例を残して主張が入らない答案が、最も多い失敗です。
字数は超過も不足も減点対象です。「筆者は〜と述べている」という前置きで字数を消費しないでください。
第2問 英作文2題は先に処理する
第2問Aは60から80語の自由英作文、第2問Bは和文英訳です。この2題を試験の最初に置くことを勧めます。
理由は3つあります。頭が最も動く時間に書く問題を終わらせられること。白紙がゼロ点で最も重い失点であること。放送直前に重い読解を残さないことです。
自由英作文は5文で固定します。1文目で立場を言い切る。2文目で理由を1つだけ述べる。3文目と4文目で具体例を書く。5文目で主張を言い換えて締める。1文13語前後で5文なら約65語です。抽象的なテーマが出た年ほど、具体例を身近な場面に落とすと書けます。
第3問 リスニングは「先読み5分」を手順として固定する
放送前の5分でやることを毎回同じにしてください。順番を変えると本番で迷います。
まずA・B・Cのうち設問文が長いパートを確認します。次に各問の設問文だけを読み、何を聞かれるかを一言でメモします。選択肢は全部読まず、数字・固有名詞・否定語にだけ印を付けます。最後にAの1問目だけは選択肢まで読み切ります。出だしで乗り遅れないためです。
放送中の原則は2つ。メモは英語の単語で取る(日本語に訳す時間はありません)。分からない問題は即座に捨てて次の設問文に目を移す。1問に固執すると連鎖的に失点します。
第4問・第5問は後半に置いて時間の保険をかける
第4問Aは正誤問題で約860語、第4問Bは下線部和訳で約410語・下線3箇所です。第5問は長文読解で、2026年度は小説が素材でした。
第5問を最後に置くのは保険です。難化した年に第5問へ時間を吸われても、それ以外がすべて確定しているからです。順番を逆にすると、第5問で沈んだ瞬間に全体が崩れます。
和訳では、下線部の外にある文脈を無視しないことが重要です。東大の和訳は、下線部だけを見ても意味が決まらないように作られています。訳し終えたら声に出して読み、日本語として読み上げられるか確認してください。
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東大英語の対策が独学で詰まる理由は明確です。要約と自由英作文は、添削者がいないと自分の減点箇所が分からないからです。この一点をAIで解決します。
ステップ1(6ヶ月前まで): 要約と英作文を型で固定する
要約を書いたあと、AIには次のように頼みます。「字数は変えないまま、抜けている論理段階(主張・転換・帰結のどれか)だけを指摘してください。書き直した模範解答は示さないでください」。
模範解答を書かせないのが重要です。AIの要約を読んでも自分では書けるようになりません。抜けている要素だけを教えてもらい、自分で埋め直す。この往復が要約力になります。
自由英作文も同じです。「褒めずに、減点される箇所だけを文法ミス、語法ミス、内容の不足の3種類に分類して列挙してください」と指示し、自分の答案を最小限だけ直した修正版を出させます。その差分だけを覚えてください。
ステップ2(3ヶ月前まで): リスニングを先読みごと練習する
リスニングの練習を「音声を聞く練習」にしないことです。本番では放送前の5分の先読みが得点を決めます。演習のときも必ず先読み5分を含めた形で回してください。
演習素材はAIで量産できます。「500語程度の英語の対話文を作り、そのあとに5択の設問を5問付けてください。選択肢には数字と固有名詞の紛らわしいものを混ぜてください」と頼めば、東大形式に近い素材が出てきます。
正誤問題の弱点洗い出しにも使えます。間違えた箇所を貼り、「どの文法項目の理解が抜けているかを分類し、頻出順に3つだけ挙げてください」と依頼すると、やるべき文法が絞れます。
ステップ3(直前期): 放送を45分後に流して通し演習する
過去問を解くとき、リスニングだけ後でまとめて解くのは本番の再現になりません。タイマーを使い、開始45分後に音声を流してください。
検証するのは英語力ではなく配分です。前半45分に予定した4つ(自由英作文・和文英訳・要約・正誤問題)が終わっているか。先読みの5分が確保できたか。放送後の75分で和訳・文補充・第5問が回ったか。この3点だけを毎回記録します。
配分が崩れなくなれば、あとは英語力の伸びがそのまま点になります。逆に配分が崩れたままだと、英語力を上げても点は伸びません。
併願戦略と予備校の選び方
理科三類を志望する受験生にとって、現実的な併願先は慶應義塾大学医学部と、共通テストの結果次第で千葉大学や横浜市立大学になります。ただし英語の性格はまったく異なります。東大がリスニングを含む総合力と時間設計の試験である一方、他大学はリスニングがなかったり、記述の比重が違ったりします。同じ難関だからと同じ対策で臨むと足をすくわれます。






同じ旧帝大でも設計は異なります。比較して読むと東大の特徴がはっきりします。


英作文の添削は独学で最も伸ばしにくい領域です。AIを使った具体的な添削手順は次の記事にまとめています。


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まとめ
東京大学 理科三類の英語は、120分・大問5題で120点。うち約30分がリスニングの放送で、開始約45分後に始まります。自由に使えるのは実質90分で、そこで約2500語の英文を処理します。二次比率は80%、共通テストは110点に圧縮されるため、貯金で逃げ切る設計にはなっていません。
やるべきことは3つに絞れます。第一に、前半45分に置く大問を先に決めること。自由英作文・和文英訳・要約・正誤問題を前半で終え、放送前の5分を先読みに使う設計が有効です。第二に、要約は圧縮ではなく主張・転換・帰結の再構成だと理解し、具体例を捨てること。第三に、第5問を最後に置いて時間の保険をかけること。
2026年度は英文総量が増え、第1問Aと第5問が難化しました。試験は確実に「処理量」を問う方向へ動いています。そして理三の合格者が差をつけているのは数学と理科です。英語は満点を狙う科目ではなく、8割前後で崩れない科目として設計してください。それが理三合格への最短ルートです。




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